日経平均は3日ぶり反発。
76.91円高の22792.76円(出来高概算4億9000万株)で前場の取引を終えている。
週明け27日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反発し、114ドル高となった。
アリゾナやフロリダ州で新型コロナウイルスの感染拡大ペースが鈍化したほか、バイオ製薬モデルナが最終段階の治験を開始することを明らかにした。
政府の追加財政策への期待も広がり、相場を押し上げた。
また、今週の決算を控えてハイテク株に買いが広がり、ナスダック総合指数は1.7%の上昇。
フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も3.2%の上昇となり、本日の日経平均は19円高からスタートすると、値がさ株を中心に買いが入り上げ幅を広げた。
前場中ごろに一時22842.19円(126.34円高)まで上昇した後は22800円近辺でもみ合う展開となった。
個別では、英製薬大手アストラゼネカと抗がん剤で提携した第一三共 (T:4568)が8%、米子会社が新型コロナワクチン開発に絡み米政府の資金拠出を受ける富士フイルム (T:4901)が4%の上昇。
その他売買代金上位ではソフトバンクG (T:9984)、ソニー (T:6758)、レーザーテック (T:6920)などが堅調で、任天堂 (T:7974)や東エレク (T:8035)は小高い。
決算発表銘柄ではスタンレー電 (T:6923)などが急伸し、コーエーテクモ (T:3635)は東証1部上昇率トップとなった。
一方、トヨタ自 (T:7203)、JPX (T:8697)、中外薬 (T:4519)などが軟調。
日立建機 (T:6305)は決算を嫌気した売りがかさみ、今期大幅赤字見通しを発表した三菱自 (T:7211)は東証1部下落率トップとなった。
セクターでは、医薬品、非鉄金属、精密機器などが上昇率上位。
半面、空運業、電気・ガス業、輸送用機器などが下落率上位だった。
東証1部の値上がり銘柄は全体の38%、対して値下がり銘柄は57%となっている。
本日の東京株式市場は米国株がハイテク関連を中心に反発した流れを引き継いだ。
とはいえ、ソフトバンクGや第一三共といった値がさ株の日経平均押し上げ効果が大きく(この2銘柄で約71円押し上げ)、前引け時点での上昇率は日経平均の0.34%に対し、東証株価指数(TOPIX)は0.20%となっている。
時価総額上位の自動車株や銀行株は全般にやや軟調。
業種別騰落率は方向感に乏しい。
東証1部全体では値下がり銘柄の方が多く、ここまでの東証1部売買代金は9000億円にも届かず低調だ。
これから主要企業の決算発表が本格化してくるため、株式市場全体としては積極的な売買を手控えるムードが出てくるのはやむを得ないだろう。
本日は東エレクのほか、信越化 (T:4063)、オムロン (T:6645)、ファナック (T:6954)、日産自 (T:7201)、HOYA (T:7741)、キヤノン (T:7751)などが決算発表を予定している。
米国でもアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など多くの企業の決算発表が予定されているうえ、明日29日にかけて米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。
金融政策は現状維持との見方が大勢だが、新型コロナの再拡大を受けてゼロ金利政策が長期化するとの観測が広がっている。
追加経済対策に伴う国債増発懸念がくすぶるなかでも米長期金利が低位推移し、株価バリュエーションの高いグロース(成長)株の株価下支えとなる一方、日米金利差縮小の思惑から為替が円高傾向に振れ、自動車等の主力輸出株にとっては逆風となりそうだ。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)が経済の先行きや今後の金融政策についてどのような認識を示すか注視したい。
このように様子見ムードの強い市場環境だが、決算以外の材料も加わって、第一三共のように個別銘柄の値動きは大きくなっている。
期初時点で今期の業績予想を非開示とした企業が多く、新型コロナを巡る情勢は足元でも流動的。
株式市場はこれまで新型コロナの影響を強く織り込んできたが、それでも4-6月期決算を受けて今後の見通しを修正する余地が大きいのだろう。
主力株の値幅が大きくなると、通常値動きの大きい中小型株には物色が向かいづらくなる。
新興市場ではマザーズ指数が3日続落。
新興ハイテク株への根強い期待を支えに大きく値を崩すことはないだろうが、目先は売買が盛り上がりにくくなるとみておきたい。
前日の先物手口を見ると、日経平均先物でクレディ・スイス証券、TOPIX先物でモルガン・スタンレーMUFG証券といった外資系証券が買い越しとなっていた。
日銀による上場投資信託(ETF)買い入れとともに、株価指数先物を売り持ちしていた海外勢の買い戻しが株式相場全体の下支えとして機能するだろう。
個別株でも東エレクのように信用売り残が信用買い残を上回る「売り長」の銘柄が多く、大方の投資家にとって意外な底堅さにつながっていると考えられる。
しかし、やはりコロナ禍中の決算は強弱がはっきり分かれており、日経平均も積極的に上値を追う展開とはなりづらいだろう。
当面は個別株物色中心の相場展開となり、日経平均はもみ合い推移すると考えられる。
(小林大純)