[上海 10日 ロイター] - 中国の証券規制当局トップだった肖鋼氏は9日、アセットマネジメント関連フォーラムで、過去に規制当局の調査を受けた譲渡性預金証書(NCD)の発行拡大で各銀行が資金不足に対応していることに懸念を示した。
肖氏は証券監督管理委員会の元主席で、現在は国政助言機関である中国人民政治協商会議(政協)の委員を務めている。
同氏は、過去の金融商品が期限を迎えることに伴うキャッシュ不足に対応するという「困難な仕事」に各行が直面していると指摘した。
仕組預金を中心とする金融商品「理財商品」への規制当局の取り締まりを背景として、各行は資金不足を補うために銀行間債券市場で取引されるNCDの発行を増やしている。
肖氏は、理財商品からの転換は「完全に現実に配慮」すべきであり、急いで行われるべきではないとした。
上海清算所のデータによると、7月の銀行によるNCD発行額は前月比26.6%増の1兆7100億元(2455億ドル)。
ナティクシス(香港)のエコノミスト、ゲリー・ング氏は「拡大がより大きな規模で継続すれば、影の銀行(シャドーバンキング)再来の初期サインとなるかもしれない」と指摘した。
中国の規制当局は過去に、比較的小規模な銀行が投機手段としてNCDを利用していたこと受け、銀行による資金調達手段としてのNCD利用を取り締まった経緯がある。