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シンバイオ製薬 Research Memo(3):「トレアキシン(R)」は再発・難治性DLBCLへの適応拡大で患者数拡大

発行済 2020-10-14 15:03
更新済 2020-10-14 15:21
© Reuters.  シンバイオ製薬 Research Memo(3):「トレアキシン(R)」は再発・難治性DLBCLへの適応拡大で患者数拡大

■シンバイオ製薬 (T:4582)の開発パイプラインの動向1. 「トレアキシン(R)」(一般名:ベンダムスチン塩酸塩)「トレアキシン(R)」は悪性リンパ腫向けの抗がん剤となる。

悪性リンパ腫とは白血球の一種であるリンパ球ががん化(腫瘍化)し、リンパ節や臓器にかたまり(腫瘤)ができる病気で、全身に分布するリンパ節やリンパ節以外の臓器(胃、腸、甲状腺、脊髄、肺、肝臓、皮膚、眼など)からも発生する。

血液がんの中でも最も多い疾患で、国内における年間発生数は10万人に約10人と言われている。

悪性リンパ腫は主にホジキンリンパ腫(HL)と非ホジキンリンパ腫(NHL)に分かれており、日本では約90%がNHLで占められる。

また、症状の進行速度によって低悪性度、中悪性度、高悪性度に分類され、様々な病型がある。

これらの中で現在、販売承認を取得しているのは再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫(NHL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、未治療(初回治療)の低悪性度NHL/MCLとなっている。

特に2016年に未治療の低悪性度NHL/MCLの販売承認を取得したことにより同分野での使用が広がりを見せ始め、2018年7月には日本血液学会の診療ガイドラインに「トレアキシン(R)」と「リツキサン(R)」の併用療法(BR療法)が標準治療法として推奨されたことで、名実ともに悪性リンパ腫の標準療法として位置づけられたことになる。

未治療(初回治療)の低悪性度NHL分野では従来、R-CHOP療法※が標準療法として利用されてきたが、2017年第4四半期(10月−12月)以降は市場の浸透率でBR療法が逆転しており、2019年第2四半期(4月−6月)には全体の55%をBR療法で占めるまでになっている。

同社はBR療法の薬効の高さから、未治療領域での市場浸透率を2020年末時点で64%まで引き上げていくことを目標に掲げている。

また、開発パイプラインとして現在、以下の3本が進んでいる。

※R‐CHOP療法:リツキサン(R)とほか4剤を組み合わせた多剤併用療法(1) 再発・難治性DLBCLへの適応拡大凍結乾燥注射剤タイプの「トレアキシン(R)」の適応拡大として、再発・難治性DLBCLを適応症としたBR療法での第3相臨床試験は、2019年9月にすべての被験者の観察期間が完了し、主要評価項目である奏効率において期待奏効率を上回る結果※1が得られたことを受け、2020年5月に製造販売承認事項に係わる一部変更承認申請を行った。

また、中外製薬 (T:4519)が再発・難治性DLBCLを対象としたポラツズマブ ベドチン※2とBR療法との併用療法にて同年6月に製造販売承認申請を行ったことを受けて、同社でも同年7月に同じ併用療法についての変更承認申請を行った。

※1 全症例数(38症例)で完全奏効率(CR)が47.4%、部分奏功率(PR)が28.9%。

年齢別では65歳未満がCR71.4%、PR14.3%、65−75歳がCR45.0%、PR30.0%、76歳以上がCR36.4%、PR36.4%となっており、特に、76歳以上でCR36.4%の水準を達成した点について、専門医のなかでも驚きをもって受け止められた。

※2 シアトルジェネティクスのADC技術を使用してロシュが開発したファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体。

CD79bタンパクは、多くのB細胞で特異的に発現しており、ポラツズマブ ベドチンは正常細胞への影響を抑えつつCD79bに結合し、送達された化学療法剤によりB細胞を破壊すると考えられている。

再発・難治性DLBCLについては現在、有効な治療法がなく救援化学療法として複数の抗がん剤(3~6種類)を組み合わせた多剤併用療法が行われているが副作用が強いことから、副作用が少なく有効性の高い新たな治療薬や治療法の開発が望まれていた。

今回、BR療法やポラツズマブ ベドチン+BR療法が承認されれば、こうした要望に応えることが可能となる。

順調に進めば2021年12月期第3四半期には販売を開始できるものと予想される。

国内における再発・難治性DLBCLの患者数は約1.8万人で、「トレアキシン(R)」が既に承認済みの適応症患者数の約1.7万人よりも多く、潜在市場規模は従来の約2倍に拡大することになる。

患者団体並びに関係学会からもBR療法を早期に使えるようにしてほしいとの要望書が出ていることから、販売開始と同時に再発・難治性DLBCL領域でも「トレアキシン(R)」の急速な浸透が見込まれる。

(2) RTD製剤、RI製剤「トレアキシン(R)」の液剤タイプであるRTD製剤に関しては、2020年9月23日付で製造販売承認を取得したことを発表しており、2021年1月より販売を開始する予定となっている。

同社は現行の凍結乾燥注射剤からRTD製剤への切り替えを2021年末までに95%まで進め、2022年始より100%切り替えの早期達成を目指していく方針だ。

米国ではRTD製剤の販売開始から1年で市場浸透率が97%に達したことから※、実現可能なペースと考えられる。

※米国ではRTD製剤「BENDEKA(R)」が2016年1月より販売開始となり、市場浸透率は同年5月に70%、1年後に90%を超えている。

また、RI製剤については2018年11月に開始した臨床試験(予定症例数36例)において、すべての被験者の観察期間が完了したことを2020年9月9日付で発表している。

順調に進めば2022年下期で承認取得となる見込みだ。

RTD/RI製剤の適応症については、既に承認済みの全ての適応症のほか、再発・難治性のDLBCLも対象に含まれている。

RTD/RI製剤のメリットは、前述したように溶解作業が不要で医療従事者の負担が大きく軽減されること、RI製剤については投与時間が10分(既存品及びRTD製剤は60分)と短く患者負担も大幅に軽減されることにある。

なお、既存の凍結乾燥注射剤タイプについては、国内の独占販売期間が2020年で終了するため、後発医薬品が開発される可能性があるが、RTD/RI製剤が上市されれば機能面での差が大きいため、事実上、独占販売期間を2031年まで伸ばすことが可能となる。

RTD/RI製剤が上市された場合の薬価は従来品と同水準となるが、仕入先がイーグル・ファーマシューティカルズに変わるため、利益率に関しては既存品よりも良化する可能性が高いと弊社では見ている。

また、同社は凍結乾燥注射剤で2019年以降、品質不良の問題が発生していることを受け、事業継続リスクの観点からRTD/RI製剤については将来的に自社製造で行うことも視野に入れている。

契約上は可能となっているようで、国内で製造委託することを考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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