[29日 ロイター] - バイデン米政権は29日、向こう10年間で洋上風力発電設備を大幅に拡大する計画を発表した。新たな開発区域を設定し、認可手続きを加速するとともに、公的融資を拡大する。
この計画は温暖化ガス削減に向けたバイデン大統領の気候変動対策の一環。
米国の洋上風力発電は現在、ロードアイランド州沖にある30メガワットの設備とバージニア州沖にある風車2基の試験プロジェクトの2カ所にとどまっており、再生可能エネルギー分野で欧州に大きく後れを取っている。
バイデン政権の計画では、2030年までに30ギガワットの洋上風力発電設備の建設を目指す。これにより、年間7800万トンの二酸化炭素(CO2)排出を削減できるという。
最初の取り組みの1つとして、人口が多いニューヨーク州ロングアイランドとニュージャージー州の間に位置するニューヨーク湾に新たな洋上風力発電開発区域を開設する。
2030年までに業界全体で4万4000人を直接雇用し、関連産業でさらに3万3000人の職を支えると見込む。
雇用の多くは、ブレード(羽根)やタワーなど発電設備の部品を製造する工場のほか、洋上に発電設備を建設するための専用船を建造する造船所で創出される見通し。
バイデン政権は、環境影響評価を含めプロジェクトの認可手続きを加速するとともに、エネルギー省を通じて総額30億ドルの公的融資も提供する。
政権の計画について漁業関係者からは、洋上風力発電が漁業に及ぼす影響に関する研究費が100万ドルにとどまっていると懸念の声が上がっている。
レモンド米商務長官は会見で、漁業と風力発電開発の「緊張に対処する」と約束した。