[ワシントン 5日 ロイター] - 世界銀行のマルパス総裁は5日、20カ国・地域(G20)が今週開催する会合で、途上国向け公的融資の返済猶予期間を2021年末まで半年間延長することを期待していると述べた。
世銀のデータによると、G20は、アフリカやアジアの途上国を対象とする債務返済猶予イニシアティブ(DSSI)により、2020年末までに約57億ドルの支払いを延期。今年6月までに追加で73億ドルの支払い延期が見込まれている。
マルパス氏は、債務支払い停止を年末まで延長すれば各国が新型コロナウイルス対策や経済に充てられると述べたが、具体的な数字は示さなかった。
また、G20はこうした延長が最後になることを明記するとみられると話した。
世銀と国際通貨基金(IMF)は今週の春季会合に向け公表した合同文書で、返済猶予が最後だと明記することで、「債務問題の恒久的解決策」を探るよう対象国に促せると指摘。
マルパス氏は、債務返済の一時的凍結は支援策として有効であるものの、長期的には低所得国が持続不可能な債務負担をより適度な水準に圧縮するのを助けるために「債務そのものの削減」が必要になるだろうと述べた。
IMF・世銀の文書は、低所得国がなおDSSIに関して理解と信頼を高めているところで、当初の利用は限定的になる可能性があると分析。
DSSIを延長すれば、同枠組みが完全に機能するための時間が確保できるが、一部諸国にとっては「困難だが必要な債務再編を巡る決断」の先送りにつながる可能性もあるとした。
文書によると、DSSIで債務猶予を要請したのはザンビア、エチオピア、チャドの3カ国にとどまっている。 一方、「債務返済に支障を来すリスクが高い、あるいは既に支障を来している」と判定されている国は35カ国あるという。
*世銀・IMFの合同文書などを追加しました