[14日 ロイター] - 米アップルは、自社のモバイル決済サービス「アップルペイ」で購入した商品を分割して支払えるようにするサービスの導入を計画している。ブルームバーグ・ニュースが13日報じた。
報道を受け、豪アフターペイといった「後払い(BNPL)」銘柄が軒並み急落した。
報道によると、2019年からクレジットカード「アップルカード」でパートナーとなっているゴールドマン・サックスが分割払いに必要なローンの貸し手となる。このサービスは社内で「アップルペイ・レイター」と呼ばれており、アファーム・ホールディングスやペイパル・ホールディングスなどが提供するサービスと競合するという。
豪BNPL最大手のアフターペイは14日の豪株式市場で10%近く下落。同業のジップとセズルも急落。ナスダック上場のアファームは13日に14%超下落し、10.5%安で取引を終えた。
ジェフリーズのアナリストは顧客向けノートで、アフターペイやジップの株価下落は当然想定できるとした上で「新たな競争が本格展開するにはある程度時間がかかる」と分析。米国でのBNPLの浸透率はオンライン販売のわずか2%で、成長余地があることを示していると指摘した。
BNPL業界は新型コロナウイルス流行に伴うオンラインショッピングの拡大を背景に過去1年で急成長している。
BNPLに特化する企業はこれまで市場シェアを脅かされることがあまりなかったが、アップルのような巨大企業やその他の新規参入者と対抗するのは大きな試練となりそうだ。
ブルームバーグによると、アップルペイの利用者は購入金額を金利ゼロで4回に分割して支払うか、金利付きで数カ月にわたって分割で支払うことが可能になる。
アップルおよびゴールドマンからのコメントは得られていない。
ペイパルは14日、オーストラリアでBNPLサービスを開始。延滞手数料を無料にして競合との違いをアピールしている。
アフターペイは文書で「BNPL会社は多数存在し、それぞれ異なり経営モデルがあり、異なる方法で収入を生み出している」とし、「競争によってこの業界の重要性が強まる」との見解を示した。
ジップの広報担当者はアップルの分割払い導入報道は「ジップがこれまで手掛けてきたことが顧客と販売事業者に受け入れられているという証し」だとし、競争激化にかかわらず顧客数は増えていると説明した。