[モスクワ 21日 ロイター] - ロシアの格付け会社ACRAの試算によると、ロシアの銀行が昨年12月に輸入した外国紙幣は50億ドル相当で、前年同月の26億5000万ドルを大きく上回った。制裁を科された場合の外貨需要の高まりに備えた動きとみられる。
輸入する外貨は、ドルが大半を占める。ロシア市民の多くは、ルーブルの下落や物価高への備えとして外貨を保有する傾向がある。
ACRAのシニアディレクター、バレリー・ピベン氏はロイターに、銀行が中央銀行に毎月提出する報告書を基に計算したところ、11月の外国紙幣輸入は21億ドルだったと明らかにした。
関係筋によると、バイデン米政権が準備している第1段階の対ロシア制裁には、米金融機関にロシアの主要銀行との決済を禁じることが含まれているもようだ。
ピベン氏は「銀行の外貨資産・債務の保有割合は、中銀の規制対象で、(現時点で)懸念要因ではない。(外貨)輸入の増加は、現金需要急増の可能性のほうに関連している」と述べた。
ロシア中銀はコメントを控えた。ロシアの銀行は、海外旅行やもしもの時の為の備えといった顧客の需要に応じるため、外貨の現金を定期的に輸入している。
ウクライナ情勢が緊迫化しているが、昨年12月の外貨輸入は、ロシアのクリミア併合でルーブルが急落した2014年末の180億ドルを大きく下回る。
ロシア中銀のデータによると、国内銀行全体の外貨資産と債務のうち米ドル建ては約半分。比率は02年の約80%、14年初めの70%から低下した。
ロシア財務省は先週、金融セクター向けの制裁が科された場合も外貨を含む銀行の全債務の履行を確実とする方針を示す一方で、市場は一時的に不安定になるとの見方を示した。