[ニューヨーク 29日 ロイター] - 米国株式市場では向こう数週間、石炭株が上昇する可能性がある。ウクライナ問題をめぐるロシアと欧米との関係が一段と緊迫化すれば、プーチン大統領は、欧州への天然ガス供給を遮断する可能性があるからだ。
米エネルギー情報局(EIA)によると、2013年に欧州大陸で消費された天然ガスの3分の1程度がロシア産だった。欧米はロシアに対する経済制裁に踏み切ったが、欧州は微妙な立場に立たされている。
欧州のエネルギー安全保障をめぐる懸念は、米国の石炭会社には好機。米石炭会社は国内での消費減少に苦しめられてきたが、欧州への輸出が増える可能性がある。現在でも米石炭輸出の半分超が欧州向けだ。
ブリン・マー・トラストの最高投資責任者(CIO)、アーニー・セシリア氏は「天然ガスという点について、ロシアとウクライナの問題が欧州に大きな影響を及ぼすなか、輸出需要が拡大するのは確実」と指摘。「短期的に、石炭株にプラスであることは間違いない」と述べた。
米国株は金融危機の際につけた安値から回復しているが、石炭は出遅れ感が目立つ。S&P500種は金融危機時の安値のほぼ3倍に回復しているが、ダウ石炭株指数 .DJUSCL は逆に7.7%下落している。