執筆:Yasin Ebrahim
Investing.com – S&P500は木曜日に下落し、過去2年間で最悪の四半期となった。投資家は、インフレの高騰を示す指標に警戒感を示し、バイデン大統領がエネルギー価格の上昇を抑えるために、過去最大量の緊急石油供給を行う方針を発表した。
S&P500は1.4%、ダウ工業株30種平均は1.6%、550ドル、ナスダックは1.5%、それぞれ下落した。2022年第1四半期をみると、3指数はそれぞれ約5.2%、4.8%、10%低下した。
バイデン大統領は、米国はエネルギー価格の上昇を食い止めるため、数ヶ月にわたって戦略的備蓄から1日あたり100万バレルの原油を放出する計画があると述べた。6ヶ月間に最大1億8000万バレルが放出される予定であり、実現すれば「1975年の備蓄創設以来最大の放出」になると、金融サービスのStifel社は報じた。
原油価格は6%以上下落し、OPECとロシアなどの同盟国が5月から日量43万バレルの増産計画を維持することを決定し、世界の指導者たちからの増産要請を退けたことも、下落の要因となった。
最新の経済指数は、エネルギーやその他のコモディティ価格の影響により、インフレ率がFRBの目標値である2%を大幅に上回っていることを示すものとなっている。
米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として望ましいとしている、食品とエネルギーを除く個人消費支出(PCE)価格指数は、3月までの12ヶ月間で5.4%上昇し、1983年4月以来最も速い上昇となった。
インフレ率の高騰を受け、市場の専門家はFRBが0.25%の利上げに続き、今年後半にさらに積極的な利上げに踏み切るとみている。
Morgan Stanley、JPMorgan、Goldman Sachsは、FRBが5月と6月に0.5%の利上げを行うと予測している。
今後の積極的な利上げを実施することで、FRBが景気後退を引き起こすことを懸念する声が多く聞かれる。債券市場は景気後退のリスクをいち早く察知している。今週初め、10-2年物国債のイールド・カーブは数週間にわたって接近し、一時的に逆転した。
イールド・カーブの接近により純利鞘が縮小し、銀行の貸出利益が制限されるため、木曜日の株安を先導した銀行株は、四半期ベースで下落する見込みである。
State Street (NYSE:STT)、Signature Bank (NASDAQ:SBNY)、Bank of America (NYSE:BAC)は4%以上下落し、最大の下げ幅となった。
一方、ハイテク株は第1四半期最終日に投資家が利益確定をした模様で、こちらも下落した。
BarclaysがAdvanced Micro Devices (NASDAQ:AMD) を中立からアンダーウェイトに格下げし、「いくつかの最終市場における循環リスク」を理由に目標株価を148ドルから115ドルに引き下げたため、同社株は8%の下落となり、半導体株は総じて下落した。
決算関連では、Walgreens Boots Alliance (NASDAQ:WBA)が発表した四半期決算では売上、利益ともに好調だったが、今後の成長鈍化懸念が影を落とし、6%下落した。
また、3月に49万人の雇用を創出したと予想される非農業部門雇用者数の月次データの発表を前に、株式市場は2年ぶりの最悪の四半期となった。