(減速を想定しているのが下期以降であることを明確にしました。3段落目の「北米や欧州向けの需要が堅調に推移するため、供給増を吸収できるとの見方だ」を「積み高・運賃が急激に変化することはないとみる」に訂正します。)
[東京 9日 ロイター] - 日本郵船は9日、23年3月期の連結純利益が前期比28.6%減の7200億円になるとの見通しを発表した。新型コロナウイルス禍からの正常化やサプライチェーンの混乱解消で、下期以降はひっ迫していた需給は緩和すると予想。世界経済の減速懸念からコンテナ船の短期運賃の大幅な下落を前提として織り込んだ。
市場予測の平均値である7660億円(IBESによるアナリスト12人のコンセンサス)を下回った。連結売上高予想は0.8%増の2兆3000億円だが円安の恩恵によるもの。コンテナ船事業を営む持分法適用会社のオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)の業績が反映される経常利益は24.2%減の7600億円を見込む。
丸山徹執行役員は決算会見で、上期の業績予想が上振れる可能性に触れたが、下期については「上振れも下振れもあり得る」とした。港湾の混雑状況が解消すれば、実質的に1割程度コンテナ船が余るとみるが、足元の状況を踏まえると上期中は、積み高・運賃が急激に変化することはないとみる(訂正)。
下期以降は、世界経済の減速により北米を中心とした需要が落ち着き、需給バランスが正常化することで、短期運賃が大幅に下落する前提。事業の先行きに不透明な要素が多いと述べた。ロシアに対する制裁の影響については非常に小さいとして、今期業績にも大きくは見込んでいない。
22年3月期の連結売上高実績は41.8%増の2兆2807億円、経常利益は4.6倍の1兆0031億円、純利益は7.2倍の1兆0091億円だった。1株当たりの期末配当を1000円から1250円に上方修正し、年間の配当額を1450円とした。自己株取得は実施しない。
今期の配当予想は1株当たり1050円とし、減配予想となった。
(浦中美穂)