■株式相場見通し
予想レンジ:上限27500円-下限26200円
来週の日経平均は堅調な展開か。
急ピッチで調整している米株市場だが、目先は修正リバウンドが入ると想定され、米主要株価指数の反発に並走する形で、東京市場でも今週末のリバウンドが継続すると予想。
米4月消費者物価指数(CPI)は総合と変動の激しい品目を除いたコアがともに市場予想を上回った。
今までインフレをけん引してきたモノ・財に関する価格にピークアウト感が見られた一方、新たにサービス分野での価格上昇が目立った。
米4月卸売物価指数(PPI)は総合の伸びが前年比で予想を上回った一方、コアでは予想を下回り、まちまちな結果だった。
インフレ懸念とインフレピークアウト期待が混在する一方、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は12日、2.59%(前日比-0.11pt)と大幅に低下。
4月21日に付けた最高値3.02%から大きく低下している。
米10年債利回りも今週後半には一時2.8%台へと低下するなど、低下基調にあり、債券市場ではインフレ加速を見込んだトレードの巻き戻しが進められている様子。
株式市場の3月中旬からの強烈なリバウンド時には、債券市場で織り込みが加速するインフレ懸念を無視する形で上昇し、その後4月からはしっぺ返しを食らう展開だった。
しかし、今回は、当時とは反対に、米主要株価指数が年初来安値を更新する一方、債券市場ではそれまでのインフレ懸念が後退するかのような動きが続いている。
今回も株式市場が債券市場を後追いするかのような形が繰り返されるのだとすれば、今後、米主要株価指数はリバウンド局面に入る可能性があろう。
米BEIは4月21日の3.02%をピークに12日時点の2.59%まで低下しているのに対し、米10年債利回りは5月6日の3.14%の高値から12日時点の2.85%まで低下。
米BEIの方が先にピークを付け、下落率も大きい。
インフレ懸念が払しょくされていないことを踏まえれば、BEIがここから更に低下する余地は小さいとみられ、遅れて調整を始めた米長期金利の方がまだ低下余地があろう。
実際、13日には米BEIが2.69%と大きめに上昇した一方、米長期金利の上昇は限定的だった。
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は12日、今後2回の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ptずつ利上げするのが適切となる公算が大きいと、5月FOMC後の記者会見時と同様の見解を改めて示した。
政策金利の上昇ペースが明確になったことを背景に名目金利がこのまま安定した基調を続ける一方、BEIが上昇を続ければ、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利の低下につながり、ハイテク株を中心に相場の反転が期待できよう。
今週末は本決算を発表したソフトバンクグループ (TYO:9984)が大幅な赤字を計上しながらも、あく抜け感から株価が急伸。
こうした動きからも目先はハイテク・グロース(成長)株のリバウンドに期待。
一方、来週は中国で重要経済指標が発表予定。
都市封鎖が続く同国では経済指標の悪化が警戒され、中国地域での売上比率が高い銘柄などには警戒しておきたい。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。
連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利の引き上げを通じて金融正常化を推進していくことから、ドル買いは継続するとみられる。
日本銀行は現行の金融緩和策を長期間維持する可能性が高いこともドル買い材料となる。
5月11日に発表された米4月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+6.2%と上昇率は3月実績を下回ったが、高インフレが続いていることが確認された。
今月3-4日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)会合でインフレ抑制に向け、一段の金融正常化(政策金利の引き上げ)を推進する方針を打ち出している。
そのため、来週発表される5月NY連銀製造業景況指数、4月小売売上高などの経済指標が市場予想を上回った場合、金融引き締めの継続を織り込む形で長期金利は底堅く推移し、ドル買い・円売りの取引が優勢となる展開が予想される。
一方、20日発表の日本の4月消費者物価コア指数は、携帯電話の値下げ効果がはく落するため、日本銀行が目標としてきた前年比+2%前後の物価上昇が予想されている。
ただ、日銀は現行の金融緩和策を維持するスタンスを変えておらず、長期金利の上昇を抑制する方針を堅持していることから、日本の物価上昇を意識したドル売り・円買いが広がる可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
5月16日(月):日・国内企業物価指数(4月)、日・工作機械受注(4月)、中・鉱工業生産指数(4月)、中・小売売上高(4月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(5月)、米・ニューヨーク連銀総裁が討論会に参加など
5月17日(火):日・第3次産業活動指数(3月)、米・小売売上高(4月)、米・鉱工業生産指数(4月)、米・NAHB住宅市場指数(5月)、米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)主催会議で講演、米・セントルイス連銀総裁がオンライン会議で講演など
5月18日(水):日・GDP速報値(1-3月)、鉱工業生産(3月)、ソニーグループが経営方針説明会を開催、中・新築住宅価格(4月)、英・消費者物価コア指数(4月)、米・住宅着工件数(4月)、米・フィラデルフィア連銀総裁がオンラインイベントで講演など
5月19日(木):日・貿易収支(4月)、日・コア機械受注(3月)、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(5月)、米・中古住宅販売件数(4月)、米・景気先行指数(4月)、米・決算発表→アプライド・マテリアルズなど
5月20日(金):日・消費者物価コア指数(4月)、中・1年物/5年物ローンプライムレート(LPR)、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(5月)など
予想レンジ:上限27500円-下限26200円
来週の日経平均は堅調な展開か。
急ピッチで調整している米株市場だが、目先は修正リバウンドが入ると想定され、米主要株価指数の反発に並走する形で、東京市場でも今週末のリバウンドが継続すると予想。
米4月消費者物価指数(CPI)は総合と変動の激しい品目を除いたコアがともに市場予想を上回った。
今までインフレをけん引してきたモノ・財に関する価格にピークアウト感が見られた一方、新たにサービス分野での価格上昇が目立った。
米4月卸売物価指数(PPI)は総合の伸びが前年比で予想を上回った一方、コアでは予想を下回り、まちまちな結果だった。
インフレ懸念とインフレピークアウト期待が混在する一方、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は12日、2.59%(前日比-0.11pt)と大幅に低下。
4月21日に付けた最高値3.02%から大きく低下している。
米10年債利回りも今週後半には一時2.8%台へと低下するなど、低下基調にあり、債券市場ではインフレ加速を見込んだトレードの巻き戻しが進められている様子。
株式市場の3月中旬からの強烈なリバウンド時には、債券市場で織り込みが加速するインフレ懸念を無視する形で上昇し、その後4月からはしっぺ返しを食らう展開だった。
しかし、今回は、当時とは反対に、米主要株価指数が年初来安値を更新する一方、債券市場ではそれまでのインフレ懸念が後退するかのような動きが続いている。
今回も株式市場が債券市場を後追いするかのような形が繰り返されるのだとすれば、今後、米主要株価指数はリバウンド局面に入る可能性があろう。
米BEIは4月21日の3.02%をピークに12日時点の2.59%まで低下しているのに対し、米10年債利回りは5月6日の3.14%の高値から12日時点の2.85%まで低下。
米BEIの方が先にピークを付け、下落率も大きい。
インフレ懸念が払しょくされていないことを踏まえれば、BEIがここから更に低下する余地は小さいとみられ、遅れて調整を始めた米長期金利の方がまだ低下余地があろう。
実際、13日には米BEIが2.69%と大きめに上昇した一方、米長期金利の上昇は限定的だった。
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は12日、今後2回の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ptずつ利上げするのが適切となる公算が大きいと、5月FOMC後の記者会見時と同様の見解を改めて示した。
政策金利の上昇ペースが明確になったことを背景に名目金利がこのまま安定した基調を続ける一方、BEIが上昇を続ければ、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利の低下につながり、ハイテク株を中心に相場の反転が期待できよう。
今週末は本決算を発表したソフトバンクグループ (TYO:9984)が大幅な赤字を計上しながらも、あく抜け感から株価が急伸。
こうした動きからも目先はハイテク・グロース(成長)株のリバウンドに期待。
一方、来週は中国で重要経済指標が発表予定。
都市封鎖が続く同国では経済指標の悪化が警戒され、中国地域での売上比率が高い銘柄などには警戒しておきたい。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。
連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利の引き上げを通じて金融正常化を推進していくことから、ドル買いは継続するとみられる。
日本銀行は現行の金融緩和策を長期間維持する可能性が高いこともドル買い材料となる。
5月11日に発表された米4月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+6.2%と上昇率は3月実績を下回ったが、高インフレが続いていることが確認された。
今月3-4日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)会合でインフレ抑制に向け、一段の金融正常化(政策金利の引き上げ)を推進する方針を打ち出している。
そのため、来週発表される5月NY連銀製造業景況指数、4月小売売上高などの経済指標が市場予想を上回った場合、金融引き締めの継続を織り込む形で長期金利は底堅く推移し、ドル買い・円売りの取引が優勢となる展開が予想される。
一方、20日発表の日本の4月消費者物価コア指数は、携帯電話の値下げ効果がはく落するため、日本銀行が目標としてきた前年比+2%前後の物価上昇が予想されている。
ただ、日銀は現行の金融緩和策を維持するスタンスを変えておらず、長期金利の上昇を抑制する方針を堅持していることから、日本の物価上昇を意識したドル売り・円買いが広がる可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
5月16日(月):日・国内企業物価指数(4月)、日・工作機械受注(4月)、中・鉱工業生産指数(4月)、中・小売売上高(4月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(5月)、米・ニューヨーク連銀総裁が討論会に参加など
5月17日(火):日・第3次産業活動指数(3月)、米・小売売上高(4月)、米・鉱工業生産指数(4月)、米・NAHB住宅市場指数(5月)、米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)主催会議で講演、米・セントルイス連銀総裁がオンライン会議で講演など
5月18日(水):日・GDP速報値(1-3月)、鉱工業生産(3月)、ソニーグループが経営方針説明会を開催、中・新築住宅価格(4月)、英・消費者物価コア指数(4月)、米・住宅着工件数(4月)、米・フィラデルフィア連銀総裁がオンラインイベントで講演など
5月19日(木):日・貿易収支(4月)、日・コア機械受注(3月)、米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(5月)、米・中古住宅販売件数(4月)、米・景気先行指数(4月)、米・決算発表→アプライド・マテリアルズなど
5月20日(金):日・消費者物価コア指数(4月)、中・1年物/5年物ローンプライムレート(LPR)、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(5月)など