[東京 22日 ロイター] - 日野自動車は22日、排出ガスと燃費のデータ改ざん問題について、新たに小型エンジンでも不正行為が見つかったと発表した。同エンジンを積む小型トラックの出荷を同日から停止する。日野は大半の車種を販売できなくなり、国内生産台数の6割が出荷停止となる。
新たな不正は、今月3日から国土交通省が実施した実施した立ち入り検査で判明した。劣化耐久試験で排出ガスの測定回数が不足するなどしていた。小型エンジン「N04C(HC-SCR)」の2019年モデルが不正対象に含まれることから、同エンジンを積む「日野デュトロ」の出荷を停止する。
会見した小木曽聡社長は「自社の検証結果を報告した後に、国土交通省からの指摘で追加の不正行為が判明したことはたいへん重大かつ深刻であり、弁解の余地もない」と述べ陳謝した。
今回の対象台数は7万6694台。これで影響台数はおよそ64万台に拡大する。業績への影響は精査中としている。同エンジンは、親会社トヨタ自動車の「ダイナ」と「トヨエース」も搭載している。
不正の発覚について、トヨタの豊田章男社長は「親会社としても、株主としても、極めて残念」とコメントを発表。日野自はステークホルダーからの信頼が問われている状況で「生まれ変われるのか注視し、見守ってまいりたい」とした。
トヨタの長田准執行役員は、日野自の企業風土について言及し、「ここを直していかない限りどんないい器を作っても厳しい」と話した。日野自は独自の経営判断で商用車メーカーとしての拡大路線を続けてきたとし、「いい車を作るための子会社化ではなかった。連携していろいろやれたかと言われてもほとんどそういう関係ではない」とも述べた。一方、日野自との関係見直しの可能性については「そういうことを言うタイミングでもないし、検討している話もない」とした。
日野は今年3月、エンジンの排ガスや燃費試験で不正があったと発表。問題を調査した外部の委員会は8月、03年規制以降の幅広い車種において劣化耐久試験で不正行為があったとする報告書をまとめた。
22日午後の東京株式市場で、同社の株価は一時6%超安の611円まで急落し、年初来安値を更新。終値は3%超安の629円となった。トヨタ自動車は前日終値から変わらず、いすゞ自動車は続伸し1%超高となった。