[東京 30日 ロイター] - キヤノンは30日、2023年12月期連結業績(米国会計基準)予想について、営業利益は前年比1.9%増の3600億円と発表した。在宅需要の減少や景気減速でレーザープリンターは需要軟化を見込む一方、レンズ交換式デジタルカメラや半導体露光装置、医療機器や商業印刷は引き続き堅調に推移する見通し。IBESがまとめたアナリスト16人のコンセンサス予想の平均値3800億円は下回った。
米国、日本、オランダが先端半導体製造装置の対中輸出を規制することで合意したとの一部報道について、田中稔三代表取締役副社長CFOは「業績への直接的な影響は微々たるもの」との見解を示した。同社の半導体製造用スパッタリング装置は対象となるものの、ステッパーなどの露光装置は対象外となるという。ただ、今後規制が強まる可能性はあるため、動向を見極めていくとした。
22年12月期の連結営業利益は前期比25.4%増の3533億円だった。売上高は4兆0314億円と2017年以来、5年ぶりに4兆円台を回復した。プリンティング事業では設計変更や代替品調達により、オフィス複合機やレーザープリンターが販売台数を伸ばした。イメージング事業ではレンズ交換式デジタルカメラが好調だった。医療機器や防犯カメラなどの新規事業も大きく成長しており「事業のポートフォリオの転換が着実に進んでいる」(田中CFO)とした。
(佐古田麻優)