[東京 26日 ロイター] - 半導体検査装置のアドバンテストは26日、2024年3月期の連結業績(国際会計基準)について、営業利益が前期比37.4%減の1050億円になる見通しだと発表した。市場予測を3割程度下回る。半導体メーカーの在庫・生産調整が当面継続すると予想し、試験装置の販売減を見込む。
吉田芳明社長は会見で、半導体の余剰在庫や生産調整が続いているとし「足元は非常に暗い」と述べた。車載向け半導体の試験装置の需要は底堅いが、スマートフォン(スマホ)など民生機器向けの落ち込みが年前半は継続しそうだという。
後半はスマホ向け需要の回復を見込むほか、対話型の人工知能(AI)「チャットGPT」の利用拡大で高性能コンピューター向け半導体の検査需要が伸びる可能性にも言及した。
吉田社長によると、自前の工場を持たない中国のファブレスメーカー中心に投資は活発だという。シェアを維持できれば同社の売り上げ予想は上振れ余地はあるとした。調整局面ではあるものの、吉田社長は新たなプロジェクトや生産規模拡大のための設備投資、人材確保の面でも経費を投じ、24年度の成長につなげる意向も示した。
IBESがまとめたアナリスト18人による営業利益の市場予測は1459億円だった。
米国などの半導体製造装置の対中輸出規制強化については、現時点で24年3月期の業績への直接的な影響は限定的と想定している。
(浦中美穂)