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アングル:中国株投資、今年は「欧州株経由」が得策

発行済 2023-05-11 15:26
更新済 2023-05-11 15:28
© Reuters.   5月10日、今年の中国株投資は中国企業株そのものではなく、中国市場に焦点を当てている欧州企業の株式を買うルートの方が高い成果を上げている。写真は2020年9月、北京の商

[ロンドン/上海 10日 ロイター] - 今年の中国株投資は中国企業株そのものではなく、中国市場に焦点を当てている欧州企業の株式を買うルートの方が高い成果を上げている。背景には新型コロナウイルスのパンデミックからの回復で産業ごとにばらつきがあり、地政学的リスクを抱えるという中国の事情がある。

中国は昨年末に厳格な「ゼロコロナ政策」を撤廃し、今年第1・四半期の成長率が4.5%と予想を上回った。

しかし回復はまだら模様だ。消費者需要の高まりがサービス業を後押ししたが、製造業は出遅れている。不動産やハイテクは当局の規制強化で打撃を受け、負債を抱えた地方自治体は財政支出に動く余裕がなく、若者層の失業率は全国平均を大きく上回っている。

BNYメロンのシニアEMEA市場ストラテジスト、ジェフ・ユー氏は「人々が支出しているのは間違いない。消費は実体を伴っている。しかしそれ以上のことはあまり起きていない」と言う。

投資家はコロナ後の中国経済への投資でもっと精妙な方法を探す必要がある。

フィデリティのポートフォリオ・マネジャー、ワン・タオシャ氏は「単に『中国株を買い持ちにしよう』と言うのではなく、(中国の回復という)テーマをポートフォリオに反映させる手段を模索している。中国株の買い持ちは単純すぎるし不確定要素も多い」と話した。「中国の回復は建設業や住宅産業の持ち直しを伴うという古い考え方は、今回は必ずしも当てはまらない。地政学的リスクがあるのは明白で、ハイテクや教育などのセクターは既に一連の規制改革にさらされていた」

ワン氏は中国について前向きな立場を取っているが、投資のルートとしては高級ブランドセクター経由を選好している。富裕層を中心にパンデミック期間に積み上がった貯蓄と、旅行の繰り越し需要が主な理由だ。

バークレイズによると、国内総生産(GDP)に占める中国関連の比率はユーロ圏の約2%に対して米国は0.5%強に過ぎない。

欧州のSTOXX600指数は年初来で約10%上昇し、他の主要指数のほとんどを上回っている。暖冬によるエネルギーコスト縮小も追い風となり、14カ月ぶりの高値を更新している。

中国のCSI300指数は年初来の上昇率が5%。しかしジェフリーズが算出した、売上高の中国比率が10%を超える欧州企業を含む「シャドーチャイナ」バスケットは、中国経済再開とほぼ同時期の昨年11月初めからの上昇率が33%で、MSCIの欧州先進国市場指数を5.3%上回った。

こうした流れの恩恵を受けているのが、欧州企業として初めて時価総額5000億ドルを突破した高級ブランドのLVMH。同社経営陣は、最近の成長と事業拡大計画は中国の再開が主な要因と指摘している。

「中国株の方がリスクプレミアムが高いため、中国売上高比率が高い欧州株への需要は今後も堅調が続く」とジェフリーズは見込んでいる。

<地政学的リスクと値ごろ感>

バークレイズの欧州株式戦略責任者、エマニュエル・カウ氏は「欧州市場経由で間接的に中国に投資する理由の1つは地政学的リスクの管理だ」と説明した。「中国株を直接買うのは、流動性を持ち、望むタイミングで素早く市場に出入りできる(欧州株を経由した)間接的手法よりもリスクが高くなる」という。

中国がデータの安全確保に力を入れるようになり、海外顧客の事業データへのアクセスが制限され、コンサルティング会社や資産評価を行う会社が捜査を受けるなどしたことも懸念をあおりたてた。

さらに、少なくとも今年に入ってから欧州株が相対的に割安に推移したことも重要な役割を果たした。

「LVMHは明らかに業績が好調だが、株価収益率(PER)は33倍。ブランドを持たない中国本土の小売り企業は70倍だ」と、フェデレーテッド・エルメスのジェームズ・クックは指摘する。「当社はスウォッチ株を保有している。これは中国における高級ブランド消費の復活に投資する一種革新的な手法だが、同時に割安な手段でもある」

リフィニティブのデータによると、中国の優良銘柄のPERが30倍近い水準で取引されているのに対してSTOXX600構成企業はわずか13.5倍。

しかし単純に「欧州株を買え」というわけではない。制裁の影響を受けにくい高級ブランド株は堅調だが、ハイテク株は地政学的な懸念で打撃を受け、製造業の不振がコモディティー株に影響している。

一部消費財メーカーも逆風にさらされている。アディダスは先週発表した第1・四半期決算でシェア確保に苦戦している様子が浮き彫りになった。経営陣は、中国市場は改善していると説明している。

バークレイズのカウ氏は「適切な中国株に投資する必要があった」と振り返った。「今年極めて好調なのは高級ブランドだ。もし中国の景気回復を期待して欧州の鉱山企業株を買っていたら失敗していただろう」

(Alun John記者、Ankur Banerjee記者)

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