[東京 11日 ロイター] - ニコンは11日、2024年3月期の連結営業利益(国際会計基準)が前年比21.7%減の430億円になるとの見通しを発表した。パネル向け露光装置の販売台数が大幅に落ち込むほか、カメラ事業は堅調ながらも為替変動の影響を受ける。半導体製造装置の輸出規制による今年度業績への影響はないとみている。
営業利益の見通しは、IBESがまとめたアナリスト13人の予測平均値431億円と同水準。連結売上高は同5.9%増の6650億円、純利益は同22.1%減の350億円を見込む。
露光装置は、パネル市況の下落で顧客が設備投資を抑制することが響く。23年3月期に29台だった販売台数は、今年度12台まで減る見通し。半導体向けの露光装置は販売増を見込むが、ディスプレー向けの減少を補えず、精機事業全体の営業利益は前年比38.9%減の150億円を計画する。
会見した馬立稔和社長は、日本政府が半導体製造装置23品目を輸出管理対象に追加したことに言及し、今年度の業績には影響がないとの見方を示した。馬立社長は、受注してから納入するまでのリードタイムが長いことから「納入スケジュールから考えると対象には当たらない」と語った。
同社は光源にフッ化アルゴン(ArF)を使った「ArF液浸露光装置」が輸出の審査対象になるとみられている。
ミラーレスカメラなどの映像事業は同10%減の380億円を計画する。販売が堅調に推移するとみているものの、前年に比べて為替が円高に振れていることなどが響く。金属3Dプリンターなどを手掛ける産業向け事業は、昨年約880億円で買収した独SLMののれん償却などで赤字が続く見通し。
23年3月期の連結営業利益は前年比10%増の549億円だった。円安が利益を押し上げたほか、半導体不足など部品調達問題が改善し、ミラーレスカメラを手掛ける映像事業が好調だった。精機事業はパネル向け露光装置の販売台数が減少し、減収減益だった。
(佐古田麻優 編集:久保信博)