[ロンドン 15日 ロイター] - 15日の市場で、トルコリラやトルコのドル建てソブリン債、株式が急落している。14日実施された大統領選挙では過半数を獲得した候補がなく、28日に現職エルドアン大統領と野党統一候補クルチダルオール氏との決選投票が行われることとなった。市場はエルドアン氏が勝利し異例の財政政策が継続される可能性を織り込んだ。
トルコの主要銀行株指数は9%超下落。イスタンブール株式市場は1547GMT(日本時間16日午前0時47分)時点で6%以上下落した。一時は6.38%安となり、サーキットブレーカーが発動された。
通貨リラは1348GMT(日本時間15日午後10時48分)時点で1ドル=19.67リラ。一時は19.70リラまで下落し、大地震後の3月に付けた最安値19.80リラに迫った。
トルコの選挙管理委員会(YSK)は15日、エルドアン大統領とクルチダルオール氏との決選投票を28日に行うと発表した。開票率99%の段階での得票率はエルドアン大統領が49.4%、クルチダルオール氏が44.96%だった。
テリマーの株式調査部門の責任者、ハスナイン・マリク氏は「クルチダルオール氏が勝利し正統派の経済政策への回帰を期待していた投資家に大きな失望感が広がった」と指摘した。
ウィリアム・ブレアの新興国債券ポートフォリオ・マネージャー、ダン・ウッドは、「これまでの市場の反応から、市場は決選投票でエルドアン氏が勝つと予想しており、これまでと同様の政策が維持されるとみている」と述べた。
同時に行われた議会選挙(一院制、600議席)はエルドアン氏の与党連合が過半数超の議席を獲得する見込みで、クルチダルオール氏が決選投票で勝利しても困難な政策運営が予想される。
ドル建てソブリン債は0.07ドル超下落。またS&Pグローバル・インテリジェンスによると、トルコの期間5年のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は132ベーシスポイント(bp)上昇し624bpと昨年11月以来の高水準となっている。
JPモルガンは1ドル=24─25リラに下落する可能性があるとの予測を示していた。