(見出しと本文1段落目の「2年連続」を「3年連続」に訂正します。)
[東京 15日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループ (T:8306)は15日、2024年3月期連結純利益が前期比16.4%増の1兆3000億円になる見通しだと発表した。3年連続で1兆円を超え、過去最高益となる。ユニオンバンク売却など前期の特殊要因の剥落に加え、顧客部門の伸びを見込む。与信関係費用は3000億円と改善を想定している。
年間配当は41円で、4円増配した前期の32円からさらに増配を予定している。 IBESがまとめたアナリスト14人による連結純利益の予想平均値は1兆1840億円。
亀沢宏規社長は会見で「経営環境はそれほど簡単ではない」とし、米金融破綻の影響についても「霧が晴れたとは思っていない」と述べた。金融システムは強固になっており、今の時点で懸念はないものの、規制強化などはこれから具体化してくる。
日本の金融政策については「YCCの解除はありうるかもしれないが、しばらくは今の金融政策を変えない」と述べた。日米の金融政策が逆方向に向くことで急激な円高になることはリスクだと指摘した。
今回、市場で期待されていた自社株買いが見送られた。亀沢社長は「資本に余裕がある状態」としながらも、米国でのインフレの先行きや景気動向、金融不安などがあり「しばらくは余裕のある運営をしたい」と述べた。中間期時点で先行きが見通せるようになれば、再度、判断したいとしている。 同時に発表した23年3月期連結決算の純利益は、前期比1.3%減の1兆1164億円だった。4―12月期時点ですでに1兆1000億円に達しており、会社予想の1兆円を上回る着地となった。与信関係費用は6748億円だった。
同社は昨年12月にユニオンバンクの全株式をUSバンコープに譲渡。保有資産の評価損はあったものの、特別利益としての戻入れもあり、純利益には1586億円のマイナス影響となった。また、外債を中心にポートフォリオ組み換えにより売却損8846億円を計上した。亀沢社長は「これらをこなしてこの数字が出せた」と述べ、「手応えのある決算」と評価した。