[東京 18日 ロイター] - 野村ホールディングスは18日、2025年3月期の3部門合計の税前利益目標を2880億円に引き下げた。これまでの計画は3500―3900億円だった。米国中心に投資銀行業務が振るわず、23年3月期に1064億円と落ち込むなどの環境変化を踏まえ、目標数値を見直した。8―10%という自己資本利益率(ROE)目標達成に向け、成長のほか、コスト削減を徹底して進める。
営業部門は950億円(従来計画は1100―1300億円)、インベストメント・マネジメント部門は630億円(同800億円)、ホールセール部門では1300億円(同1600―1800億円)を目指す。
投資家向けIRイベントの中で奥田健太郎グループCEO(最高経営責任者)は、変化に遅れることなく対応することが重要だとし「ボラティリティーの大きな市場はビジネスチャンス」と述べた。市場環境に左右されない収益体質を目指す。
営業部門では、富裕層領域での強固なブランド確立やアライアンスの拡大、インベストメント・マネジメント部門では運用資産残高の拡大を進める。ホールセール部門では、市場環境変化の影響を受けにくくするために収益の多様化・安定化を進める。
自己資本利益率(ROE)8―10%(23年3月期のROEは3.1%)との目標は堅持した。実現に向け、25年3月期には3部門で23年3月期比20%程度の収益拡大を目指すほか、経費コントロールを徹底することでROEの早期回復を実現させる。
奥田CEOは「部門間協力による新たな収益機会の創出、コストコントロール、インオーガニックな成長機会を積み上げることで、実現していきたい」と述べた。他社との提携や他社の買収などを通じて成長を行うインオーガニックの投資先としては、M&Aアドバイザリーを専門的に取り扱うブティック、ウエルスマネージメント、アセットマネージメントを挙げた。
一方、米投資銀行業務の戻りが読めない中、ホールセール部門長のクリストファー・ウィルコックス執行役は「特定の領域にフォーカスしていく」とし、「大規模に人員を減らす計画はない」と述べた。
コスト削減に向けては、飯山俊康副社長をリーダーに構造改革委員会を設置したと明らかにした。より効率的なビジネスを実現できるか検討し、期限内にそれを実行することをミッションとして、仕事の行い方を大きく見直していく。
25年3月末までに、グローバルでの購買や営業部門の収支構造改革など短期的施策で500億円のコスト削減を行う。ロケーション戦略の推進やグローバル機能の一体化、データセンターの統合など中期的施策で120億円の削減も進める。
23年3月期に円安影響やインフレを背景にした固定給増加などで1兆0948億円に膨らんだ3部門の費用は、収益拡大後の25年3月期もほぼ変わらずの1兆1000億円にとどめ、経費率を91%から80%に引き下げる。
株主還元方針では、配当性向を40%、総還元性向は50%以上とした。奥田CEOは「自社株取得も機動的に行っていく」との方針を示した。