[東京 24日 ロイター] - パナソニックホールディングスの楠見雄規社長兼最高経営責任者(CEO)は24日、ロイターなど報道各社の取材に応じ、地政学リスクが高まる中でも高い優先順位で中国事業に取り組む姿勢を示した。ただし、成長戦略の主軸と位置付ける電気自動車(EV)向け円筒形電池については、中国に依存しない形で供給網(サプライチェーン)を構築していく意向を示した。
パナソニックは家電製品などを中国で生産、現地で販売している。楠見CEOは「歴史もあり、優先度の高い市場」と説明し、「中国での事業はこれまでと同様に発展させていく」と述べた。2023年3月期の連結売上高のうち、中国は1兆円弱を占める。
先週末の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)は中国が主要議題の1つで、建設的な関係の構築を呼びかける一方で、重要物資の供給網で依存度を低下させていくことで一致した。
中国事業を重視する楠見CEOも、需要が急増している電気自動車(EV)向け円筒形電池の生産については、中国に頼らない供給網を構築する考えを示した。同社は米ネバダ工場で製造する電池材料の「かなりの部分を中国から輸入」。米国インフレ抑制法(IRA)で得た補助金も合わせ、北米の供給網構築に投資していく構え。EV電池はレアアース(希土類)を使用し、中国への依存度も高い。
同社のEV電池は米テスラを主要顧客としているが、楠見CEOは日本の自動車メーカーからも引き合いがあると明らかにした。納入先の拠点で生産することも含め、どこに製造ラインを建設していくか「様々なオプションがある」とした。
同社はグループの戦略投資として掲げた6000億円の大半を、EV電池に投じる方針。2030年度までに生産能力を22年度対比で4倍の200ギガワット時(GWh)まで拡大する。楠見CEOは、目標の生産能力達成には「6000億円では全く足りない」とした上で、政府支援や自動車メーカーとの共同投資なども含めて今後協議していくと話した。
(浦中美穂、ダニエル・ルーシンク 編集:久保信博)