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アングル:生成AI規制の取り組み、欧米は旧来の法律に依拠

発行済 2023-05-26 17:20
更新済 2023-05-26 17:28
© Reuters.  「チャットGPT」のような対話型人工知能(AI)は社会やビジネスを根本から変えかねないが、当局はこうしたAIの規制を旧来の法律に頼って行おうとしている。5月4日撮影(2

[ロンドン/ストックホルム 22日 ロイター] - 「チャットGPT」のような対話型人工知能(AI)は社会やビジネスを根本から変えかねないが、当局はこうしたAIの規制を旧来の法律に頼って行おうとしている。

AI規制の先頭に立っているのは欧州連合(EU)だ。対話型などの生成AI台頭による個人情報保護や安全面に対処する規制において、世界標準となる可能性がある。

しかし実際に法律が施行されるまでには何年間も要する見通しだ。

コンサルタント会社BIPの欧州データ統治専門家、マッシミリアーノ・チムナギ氏は「規制が存在しないため、政府は既存のルールを適用するしかない状態だ」と指摘。「個人情報の保護であれば、当局は情報保護法を適用する。人々の安全が脅かされる問題については、AIに具体的に対応してはいないがAIに適用することは可能な規制がある」と現状を説明した。

イタリア当局は3月末、チャットGPTの開発企業オープンAIがEUの個人データ保護ルール「一般データ保護規則(GDPR)」に違反しているとして、国内でチャットGPTへのアクセスを一時停止。EU各国の規制当局は4月にチャットGPTに関する問題に取り組む特別チームを設置した。

その後オープンAIが年齢認証機能と、ユーザーが自分の情報がAIモデルの訓練に使われるのを拒否する仕組みの導入に同意したことから、イタリアはアクセスを再開している。

イタリア当局に近い筋はロイターに、他の生成AI全般についても調査を開始すると明かした。フランスとスペインのデータ保護当局も4月、オープンAIによる個人情報保護法の順守について調査を開始している。

<ハルシネーション>

生成AIを巡っては、事実と異なる不確かな情報をまき散らす「ハルシネーション(幻覚)」の問題が懸念されている。

こうした間違いは深刻な結果を招きかねない。例えば銀行や政府部局が意思決定スピードを速めるためにAIを使った場合、個人が不当に融資や社会保障費の支給を拒否される恐れがある。グーグルの親会社アルファベットやマイクロソフトなどの巨大IT企業は、金融商品など倫理的なリスクをはらむ分野でのAI商品の利用を中止した。

欧米の6つの当局に取材したところ、当局はAIモデルに投入されるデータと、AIが生成するコンテンツという主要な2課題について、著作権や情報保護に関する既存ルールを適用しようとしている。

ホワイトハウスの元IT顧問、スレシュ・ベンカタスブラマニアン氏は、欧米当局は「自らの責務を解釈し、また再解釈する」ことを迫られていると説明した。

EUでは、オープンAIのような企業に対し、著作権のある書籍や写真をモデルの訓練に使用した場合、全て開示するよう義務付けることが提案されている。

しかしEUの草案作りに参加している政治家の1人、セルゲイ・ラゴディンスキー氏は、著作権侵害の取り扱いは一筋縄ではいかないと言う。

「自分で小説を書く前に何百冊も小説を読むようなものだ。何かを実際に盗用して出版したなら問題になる。しかし他人の作品を直接盗用するのでなければ、何を使って自分を訓練しようが自由だ」と同氏は語った。

<独創的に対処>

フランスのデータ保護当局、CNILのIT責任者ベルトラン・パイエ氏によると、CNILは既存の法律をAIに適用する方法について「独創的な考え方」をし始めたという。

例えば、フランスでは差別に関する訴えは権利保護局が取り扱うが、この組織はAIによる差別についての専門知識が無いため、そうした問題はCNILが主導的な役割を果たすことになった。

「焦点を絞るのはあくまでデータとプライバシーの保護だが、規制の効果については視野を全体に広げていく」とパイエ氏は述べた。

英国では、金融規制当局である金融行動監視機構(FCA)など、複数の国家規制当局がAIについての新たな規則の策定を指示されている。

AI業界からは、企業幹部の関与を増やすべきだとの声も出ている。

AIを使った法的文書処理のスタートアップ企業、ルミナンスの法務顧問であるハリー・ボロビック氏は、今のところ当局と企業の対話は「限定的だ」と指摘。「将来を考えた場合、これはあまり良くない兆候だ。規制当局は、消費者保護とビジネス拡大の適切なバランスを取れるようなアプローチの実行が遅れている、もしくは前向きではないように見受けられる」と懸念を示した。

(Martin Coulter記者、Supantha Mukherjee記者)

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