Elvira Pollina
[ミラノ 5日 ロイター] - イタリアの通信大手テレコム・イタリアは5日の取締役会で、同社の固定電話部門を米プライベートエクイティ(PE)大手KKRに売却することを承認した。KKRは債務を含めた固定電話部門の価値を188億ユーロと評価する買収案を提示。評価額は、特定の条件が満たされれば220億ユーロに達する可能性があるという。
テレコム・イタリアは多額の債務を抱えている。固定電話部門売却はピエトロ・ラブリオーラ最高経営責任者(CEO)が掲げる経営再建の大きな柱で、イタリアのメローニ政権も売却を支持している。
テレコム・イタリアは固定電話部門の売却により、グループ全体の債務が約140億ユーロ軽減されるとしている。売却手続きは来年夏に完了する見通しだ。 同社はまた、国内の人員4万人を半分に削減する方針。
売却対象には、イタリアが他の欧州連合(EU)加盟国とのデジタルデバイド(情報格差)を解消する上で戦略的に重要と考えられる資産が含まれている。こうした重要資産を監視するため、イタリア政府は財務省が固定電話部門株の20%を取得するため22億ユーロを支出することを承認した。
テレコム・イタリアはまた、取締役会の決定を株主総会には諮らないと表明した。
これに対しテレコム・イタリア株の24%を保有するフランスのメディア大手ビベンディは5日、取締役の決定を「違法」と非難。売却には臨時株主総会での承認が必要と主張した。
ビベンディはこれまで売却価格の引き上げを求めるとともに、売却後の固定電話部門の持続可能性に懐疑的な見方を示していた。