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ファンペップ Research Memo(9):抗体誘導ペプチドのパイプライン拡充と合わせて子会社で非医薬品事業を育成

発行済 2024-09-19 14:09
更新済 2024-09-19 14:30
© Reuters.
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*14:09JST ファンペップ Research Memo(9):抗体誘導ペプチドのパイプライン拡充と合わせて子会社で非医薬品事業を育成 ■今後の成長戦略

ファンペップ (TYO:4881)は今後も独自技術である抗体誘導ペプチドの優位性を生かして、抗体医薬品が既に発売されている「炎症領域」を中心に幅広い慢性疾患のなかから開発意義の高い疾患を対象に開発パイプラインを拡充する方針だ。
標的タンパク質は既に上市されている抗体医薬品と同じであることから、リード化合物を特定する時間が通常よりも大幅な短縮が可能で、既に安全性や有効性についても抗体医薬品で確認されているため、開発リスクも小さい。
さらには、第1相臨床試験の結果で開発成功確率がある程度読めることもメリットと言える。
抗体誘導ペプチドの投与により、体内で抗体価がどの程度上昇するか、産生した抗体が標的タンパク質の動きをどの程度阻害する能力があるかを調べることで、薬効についてもある程度推測したうえで、その後の開発方針を立てられるためだ。


こうした点を総合的に勘案すると、抗体誘導ペプチド技術を用いた創薬は、一般の創薬に対して研究開発効率が高いと言える。
塩野義製薬が前臨床試験段階という早期段階で「FPP004X」のオプション契約を締結したことも、こうした点が評価されたものと弊社では考えており、今後の新規研究テーマについても前臨床試験の段階で契約締結まで進むケースが増えるのではないかと見ている。
抗体誘導ペプチドを用いた治療用ワクチンの開発については、スイスのACイミューン (NASDAQ:ACIU)がアルツハイマー症を適応症とした第2相臨床試験を実施しており、2024年5月には武田薬品工業 (TYO:4502)と独占的オプション及びライセンス契約を締結するなど、再び注目度が上がってきている。


このため、同社では新規パイプラインを2年に1本のペースで追加しながら、ライセンス契約につなげる考えだ。
新規パイプラインについては、直近6年間で3本の抗体誘導ペプチドを開発パイプラインに加えた実績から、十分に実現可能なペースと言える。
人材投資については、基礎研究分野の人材だけでなく、今後は開発パイプラインの増加に伴ってCMC※関連の専門知識を持つ人材の採用についても進める方針だ。


※ CMC(Chemistry, Manufacturing and Control)は、Chemistryは化学、Manufacturingは製造、Controlはそれらの品質管理を意味する。
医薬品製造の承認を申請する際には非臨床試験から臨床試験さらに市販後に向けて、評価される製造物を定義付けることが求められる。
製造物の処方や規格及びそれらの評価方法や設定根拠、包材を含めた原材料の管理、原料や製造物の製造プロセスを検討し、製造物の品質評価を統合して行う概念。


子会社のファンペップヘルスケアについては、化粧品分野など非医薬品事業を育成することで、創薬にかかわる開発費の一部を賄う戦略となっている。
従来も機能性ペプチドの特性を生かした化粧品や除菌スプレーなどが発売されており、今後もメーカーとの共同開発を進めながら事業拡大を目指す。
2024年8月には(株)アルビオンが新たに発売する高機能スキンケアシリーズ「アンフィネス」の全7品目に美容成分※として「OSK9」が配合されたことを発表した。


※ 「OSK9」の配合によって、繊維芽細胞増殖効果、コラーゲン、ヒアルロン酸生成促進効果を発揮し、高速かつ強力に真皮細胞を増殖させ、肌の「ハリ」により高い効果を実感できることが期待される。


また、2022年2月に共同開発契約を締結したサイエンスではファインバブル技術に同社の抗菌作用を持つ機能性ペプチドを組み合わせた次世代創傷用洗浄器の開発を進めている。
褥瘡などの皮膚潰瘍の治療を目的とした医療用機器として開発販売する意向である。
プロトタイプは完成しているものの、具体的な開発スケジュールについては未定である。
このほか2022年12月にASメディカルサポート及びN3と幹細胞化粧品※の共同開発契約を、2023年2月にはサンルイ・インターナショナルと抗菌作用を持つ機能性ペプチドを配合したフェムテック化粧品の共同開発契約をそれぞれ締結し、現在共同開発を進めている。
サンルイ・インターナショナルとは2023年12月に高齢者向け介護ケア商品(口腔ケア、抗菌液及び消臭ケア)の共同開発も開始している。
原材料の販売となるため当該商品がヒットしたとしても売上規模は年間数千万円が現実的な水準と考えられるが、ヒット商品が生まれれば機能性ペプチドに対する関心度も高まり新たな商談につながる可能性がある。
このため、今後も化粧品分野を中心に抗菌作用やアンチエイジング機能などの特性を生かした機能性商品の開発を進める企業との提携を積極的に進め、同事業の拡大と収益化を目指す。


※ 共同契約先で開発している幹細胞化粧品に、同社グループのヒアルロン酸産生増加用や幹細胞誘導作用を持つ機能性ペプチドを配合することで、皮膚再生効果の高い化粧品の開発を進めている。


今後の業績見通しについては、創薬事業において研究開発ステージが数年間は続きそうなことから、大型契約の締結がない限りは営業損失がしばらく続く見込みだ。
ただ、抗体誘導ペプチドの開発対象となる領域での抗体医薬品の世界市場規模は主要製品だけでも500億米ドルを超えており、開発に成功した場合の成長ポテンシャルは極めて大きい。
同社は今後も抗体誘導ペプチドの自社開発に注力する方針だが、将来的には抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術である「STEP UP」を他社に提供して収益を獲得することも選択肢の1つとして視野に入れており、今後の展開に注目したい。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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