[日本インタビュ新聞社] - ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション
米国のトランプ次期大統領が、次期政権の閣僚・高官の重要ポストの人選を進めている。大統領選挙、上院・下院選挙のいずれをも勝利した「トリプル・レッド」の論功行賞なの側近、取り巻きの起用が目立っている。かつての「お友達内閣」といわれた日本の第一次安倍内閣を思い出させる。「お友達内閣」は、国権の最高機関である国会さえ十分に歯止め機能を果たせない官邸主導の「一強政治」となり、その政治評価はなお功罪半ばしている。同様にトランプ次期大統領のマルチ(多国間)より「バイ(二国間)」の「ディール(取引)」を重視し、予測不可能といわれる政治手法と合わせて、この一方的な人事による「トランプ・リスク」も心配になる。
11月5日投開票の大統領選挙以来、一段と盛り上がった「トランプ・トレード」には、この「トランプ・リスク」への懸念と「トランプ・リターン」への期待とがない交ぜになっているようである。その「トランプ・リスク」の一つが、関税引き上げ、国境管理の厳格化・移民制限、規制緩和などによるインフレ再燃がある。米国の長期金利は、インフレ再燃を見越して上昇に転じ、為替相場は、日米金利差の拡大から円安・ドル高が急速に進んだ。米国の株式市場では、折からの決算発表や規制緩和によるM&A期待も加わって、金利敏感株の大手銀行株の株価が急伸した。東京市場でも業績上方修正で先行した地銀株に続いて、メガバンク株が業績上方修正や増配に踏み切り、みずほフィナンシャルグループ<8411>(東証プライム)のように、一気に年初来高値を更新する急騰を演じたケースもあった。
この長期金利上昇で高騰した関連株買いがひとわたり一巡すると、続いて遅れて浮上する可能性のある株高のカタリスト(株価材料)は、円安・ドル高となる可能性もある。「トランプ・トレード」のローテーションとして、円安メリット株にアプローチ余地が生じてくる展開につながる。すでにこの代表株の自動車株が、前週初に突っ込んだ年初来安値水準から再動意含みにある。売られ過ぎ修正の追撃も可能だが、自動車株の多くは今3月期業績を下方修正しているうえに、「タリフマン(関税男)」と自負するトランプ次期大統領が、選挙中から関税引き上げを公約しており、先行きの不安材料として潜在する。
となれば次に注目は、トランプ次期大統領の影響が及ばない純内需型業態のインバウンド関連株となる。足元では、観光シーズンの端境期でやや季節外れとなり、代表株の資生堂<4911>(東証プライム)やコーセー<4922>(東証プライム)のように業績を下方修正する銘柄も相次いでいるが、こうした年初来安値に急落する銘柄を尻目に急騰する銘柄も出てきている。京王電鉄<9008>(東証プライム)と京阪ホールディングス<9045>(東証プライム)は、ともに今期業績の上方修正と増配、自己株式取得のトリプルセット発表で窓を開けて急騰し、電鉄株の重量株イメージを一新した。
確かに予測不可能といわれるトランプ次期大統領が、これからドル高、ドル安のいずれを望み嫌うのかまだ不透明である。しかし日本政府と日本銀行が、円安・ドル高阻止に向けて円買い・ドル安の為替介入に踏み切れば、格好の標的として攻撃対象となる可能性もある。金利上昇にブレーキが掛からなければ、さらに円安・ドル高が強まることになる。円安メリット株に上昇余地が生まれてくることになり、クリスマス休暇のシーズン入りを先取りして師走相場のもう一つの核銘柄としてアプローチしても面白そうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)