最近、シアトル地域で「完全自動運転」（FSD）モードで運転していたテスラ・モデルSが衝突事故に巻き込まれ、28歳のオートバイ運転手が死亡する事故が発生した。テスラの56歳のドライバーは、運転支援機能が作動中に携帯電話を使用していたことを警察に認め、自動車殺人の疑いで逮捕された。
イーロン・マスク最高経営責任者（CEO）が完全な自動運転機能の実現を目指して多額の投資を行っているテスラのFSD技術が絡んだ死亡事故は、これで少なくとも2件目となる。テスラは、FSDソフトウェアはドライバーの積極的な監視を必要とし、車両を自律走行させるものではないと主張しているにもかかわらず、この技術は、アルファベットのウェイモなどの競合他社が使用しているライダーのような高価なセンサーを使用せず、カメラと人工知能に依存しているとして批判を浴びている。
専門家は、対象物までの距離の測定が不正確である可能性など、テスラのカメラのみのシステムが直面する課題を指摘している。天候、照明、道路、交通状況などさまざまな条件下で、オートバイや自転車など現実世界の変数を扱うシステムの能力についても懸念が指摘されている。
イーロン・マスクは自動運転技術に対する野望を声高に語っており、最近では、テスラが来年完全な自動運転機能を実現しなければショックを受けるだろうと述べている。マスクは将来の自動車について、移動中にドライバーが映画を見たり睡眠をとったりできるような「小さな移動ラウンジ」を想定している。
テスラの自動運転技術に対する規制や法的な監視の目は強まっている。米国運輸省道路交通安全局（NHTSA）は2021年8月、停止中の緊急車両を巻き込んだ複数の事故を確認した後、オートパイロット・システムの調査を開始した。これに続いて2023年12月、テスラはFSDソフトウェアに追加の安全装置を実装するため、米国内のほぼすべての車両をリコールせざるを得なくなった。2022年8月から2023年8月にかけて発生した、FSDソフトウェアを使用したテスラ車による前回の死亡事故に関する調査は現在も継続中である。
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