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表示灯 Research Memo(2):公共施設を中心に周辺案内地図に広告掲載する「ナビタ」が主力事業

発行済 2024-12-24 16:12
更新済 2024-12-24 16:30
© Reuters.
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*16:12JST 表示灯 Research Memo(2):公共施設を中心に周辺案内地図に広告掲載する「ナビタ」が主力事業 ■会社概要

1. 会社概要
表示灯 (TYO:7368)は、自社開発の周辺案内地図を基礎媒体とした連合広告である「ナビタ」(地図広告)が主力事業である。
「ナビタ」は、周辺地図・公共施設・商業施設・行政情報・災害避難場所等の情報を提供しており、公共性の高い社会インフラの役割を担っている。
2024年9月末時点で、2,409駅、1,050自治体、308病院に設置されており、全国で同様のサービスを同社ほどの規模で行っているサービスは見当たらない。
既に多くの場所に設置していることに加え、全国の各交通機関ごとに広告を取り扱うことが許可される指定代理店となっていること、1つの媒体に多くの地場の広告主(以下、協賛スポンサー)を募集し掲載するというユニークな連合広告の形態を展開していることから、後発企業に対して高い参入障壁を築き、優位性を確保している。


設置場所は、人流や協賛スポンサーに対して広告効果が見込める設置場所、ロケーションオーナーに支払う場所代などの提案を踏まえて決定する。
協賛スポンサーとして広告を出稿するのは、主に周辺案内図の範囲内の企業・病院・小売店・飲食店・宿泊施設・サービス業企業である。
契約期間は3年だが、継続率は8〜9割を占めており、空き枠を新規スポンサー募集営業活動で埋める安定したビジネスモデルを構築している。


当初はナビタ事業のみだったが、交通広告や屋外広告などの周辺領域をカバーするためにアド・プロモーション事業を開始し、その後広告の設置工事を内製化するためにサイン事業も立ち上げた。
3事業が揃ったことで、総合広告代理店として企画立案から設置まで一気通貫で対応できる体制となっている。


2. 沿革
同社は、創業者の吉田大士(よしだ もとひと)取締役会長と栗本肇(くりもと はじめ)取締役相談役が中心となり1967年2月に日本交通表示灯(株)を創業し、愛知県名古屋市中区において市バスのバス停に交通広告を掲出する事業を開始した。


1967年12月に主力事業となる駅周辺案内地図「ナビタ」の第1号機を名古屋鉄道 (TYO:9048)の上飯田駅(愛知県名古屋市北区)に設置した。
並行して、1968年2月に「ナビタ」以外の各種広告を幅広く扱うためにアド・プロモーション事業を開始した。
1969年7月には名古屋市営地下鉄への「ナビタ」の設置に伴い、広告・看板・案内板などを扱うサイン事業を開始した。
1971年7月に日本国有鉄道(現 JRグループ各社)に「ナビタ」を設置したのを機に、全国の鉄道の駅に設置した。
「ナビタ」の設置場所は現在、自治体や交番、神社・寺院、病院などの公共施設全般にまで拡大している。


3. 事業内容
同社の事業セグメントは、ナビタ事業、アド・プロモーション事業、サイン事業の3つで開示している。
2025年3月期中間期の事業別構成比では、ナビタ事業が売上収益の84.0%、営業利益の大半を占める主力事業となっている。


(1) ナビタ事業
「ナビタ」は、自社開発の周辺案内地図を基礎媒体とした連合広告である。
現在は全国の鉄道駅や路面電車の停留所、自治体庁舎、交番・警察署、病院、神社・寺院などへ設置されている。
地図情報や公共施設情報、災害時の避難場所情報等を盛り込んだ公共性の高い媒体となっており、LED/液晶モニター/タッチパネル/多言語対応/屋内・屋外仕様など様々なタイプがある。
ナビタ事業は、設置場所のロケーションオーナー、協賛スポンサー、利用者の3者にとってメリットがあるビジネスモデルとなっている。
ロケーションオーナーはナビタの設置により施設利用者へのサービス向上につながるとともに、設置場所を提供する対価として収入を得ることができる。
協賛スポンサーは、好立地の場所に連合広告という形で広告料を抑えて出稿することができる。
広告料が安価なうえ、利用者が多い施設に設置するため広告効果が期待されることもあり、2024年9月末時点の「ナビタ」総契約件数は72,247件となった。
ナビタ事業はターゲット・設置場所などにより、ステーションナビタ/シティナビタ/公共ナビタ/メディカルナビタ/神社・寺院ナビタ等に分類される。


a) ステーションナビタ
ステーションナビタは、2024年9月末現在でJR・私鉄・地下鉄の全国2,409駅(うち、乗降者数3万人以上/日の主要994駅では80%を超える駅)の改札付近に設置されており、スポンサー数は72,000件を超えている。
交通広告は鉄道会社の指定代理店が取り扱うのが慣例だが、同社はナビタ事業を端緒として全国の各鉄道会社の指定代理店になっている。


b) シティナビタ
シティナビタは全国の自治体庁舎内に設置され、地図上で公共施設や避難場所情報などを知らせるとともに、庁舎内の案内や行政情報を表示し、広告スペースでは民間商業施設を地域情報として活用している。
設置する自治体にとっては費用の負担なく税外収入(広告納金)が得られるうえ、来庁者サービスの向上につながるというメリットがある。
2024年9月末現在で全国1,050の自治体に設置されており、スポンサー数は33,550件となっている。


c) 公共ナビタ
公共ナビタは、交番・警察署、運転免許センター、交通安全協会などの全国の警察施設合計153ヶ所に設置されている。
警察関連施設の公共の場で情報を発信することで、地域に密着し、ターゲットを特定した広告効果を得られるメリットがある。


d) メディカルナビタ
メディカルナビタは、高難度手術や高度先進医療を提供する地域医療支援病院・特定機能病院合計308ヶ所に設置されている。
単なる広告媒体ではなく、周辺地図を通じた地域医療の強化・促進コンテンツとして社会性のある広告媒体に位置付けている。


e) 神社・寺院ナビタ
神社・寺院ナビタは、全国149ヶ所の神社・八幡宮・天満宮・東照宮などに設置されている。
多言語解説を掲載することができ、設置された場所の由来や境内案内をはじめ、周辺の街区案内、公共施設情報、災害時の避難場所を掲載する。
設置場所の由来なども伝えることで、文化的背景や地域の歴史などを知ることができるメリットがある。


(2) アド・プロモーション事業
同社は全国の主要駅やエリアで指定業者となっており、交通媒体(車内・駅構内など)、マス媒体(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)、屋外媒体(看板・ボードなど)による各種広告を手掛けている。
鉄道関連以外では、インターネット広告、デジタルサイネージ広告、Webサービスといったデジタル技術を活用した広告も展開している。
広告目的に沿った最適な媒体選定・企画立案・プレゼンテーション・予算管理・制作までを含めたトータルプランニングを提案している。


商品構成は、駅構内に掲出される「駅広告」/電車内に掲出される「車両広告」/歩行者やドライバーなどを対象にする「屋外広告」/「バス広告」/テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などの主要媒体を対象にする「マス広告」/「Webサービス」などがある。
「Webサービス」には、免税店情報を紹介する「TAXFREESHOPS.JP」、QRコードにより目的地までの道案内機能を持つモバイルナビゲーションアプリ「ここからGO!」などのサービスがある。


(3) サイン事業
サイン事業は、全国の鉄道会社や自治体などの取引先ネットワークを活用し、広告・看板・案内板などの企画設計から施工に至るサービスを提供している。
商品構成は、鉄道会社向けの「交通サイン」/自治体向けの「公共サイン」/商業施設向けの「商業サイン」/緊急時に音と光で注意を喚起する「NAVIアラート」を展開する「避難誘導サイン」/モニターに案内情報を表示したり、リアルタイム情報を発信するシステムを導入する「デジタルサイネージ」/自治体を中心に導入から運用管理まで手掛ける「番号案内表示システム」などに分類される。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)

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