[ミュールハイム・アン・デア・ルール(ドイツ) 3日 ロイター] - ドイツのショルツ首相は3日、カナダで修理を受けていた天然ガスパイプライン「ノルドストリーム1」のタービンについて、ロシアが受け取りを遅延させる理由はないと述べた。
同タービンを巡っては、カナダで修理を受けた後、ドイツに戻されたものの、書類の不備などで、ロシアには返却されていない。ロシアはタービンの返却の遅れを理由にガス供給を削減しており、争点となっている。
タービンは独シーメンス・エナジーが製造。ショルツ首相はミュールハイム・アン・デア・ルールにあるシーメンスの施設を訪れ、「タービンに支障なはい」とし、そのことを世界に示すためにシーメンスの施設を訪問したと記者団に説明。「極めて明快だ。タービンはここにある」とし、ロシアが受け取りに応じれば「いつでも輸送できる」と述べた。
シーメンス・エナジーの最高経営責任者(CEO)は、ロシア国営ガスプロムと協議を続けているとしながらも、「合意はまだない」と述べた。
ロシアのペスコフ大統領報道官はショルツ氏の発言に対し、書類の不備がロシアへの返却を妨げていると非難した。
カナダでは、自国の対ロシア制裁に反して同タービンを修理後に返却したことで政府が一部から批判されている。カナダのジョリー外相はドイツのベーアボック外相とモントリオールで行った会談で「ロシアのプーチン大統領が欧州向けエネルギーを武器として利用しているのは今や明らかだ」との考えを示した。