◆「2月は逃げる、3月は去る」という。
受験生なら入試本番までの、会社員なら年度末までの月日の経つのがものすごく速く感じられることに由来する言葉だ。
中間期末の9月もそれらに負けず劣らず速く過ぎる。
2日新甫で始まった今月、2週連続で3連休を挟んだと思ったら、もう今週は権利付き最終売買日を迎える。
翌日の落ち日から実質下半期相場のスタートである。
◆あっという間に過ぎてしまう、というのは楽しい時間と同じだ。
楽しい時は速く過ぎる。
苦しい時間は長く感じる。
そうであれば今年の9月相場は「楽しい」時であったのか。
確かに日経平均は月初から先週末まで下げた日はわずか2日だけだ。
2017年秋の16連騰以来の10連騰も記録した。
地味ながらもそれなりに「楽しい」相場であったろう。
◆問題は、この9月相場に乗れなかった人だ。
悔やんでいるかもしれない。
「2月は逃げる、3月は去る」そして「9月は悔やむ」では洒落にもならない。
9月はこれまで1年の中でもパフォーマンスの悪い月だった。
しかし近年、その状況は変わりつつある。
今週の相場展望で述べた需給要因などが関係しているのだろう。
◆昨年のこの時期の新潮流でも日本の祝日の多さを取り上げたが、今年も同じ思いである。
3連休が2週連続では相場的に問題である。
実際、前の連休の最中にはサウジアラビアの石油施設が攻撃を受けて原油相場が急伸するという波乱が起きた。
その時、日本株市場は閉まっていて対処できなかった。
◆日本取引所グループは2021年にも、デリバティブの祝日取引を実施する方向で検討に入ったと報じられた。
可及的速やかに実現してもらいたい。
働き方改革で人の労働時間は短くなっても、システムや制度は時間の制約を受けない社会が望ましい。
人の働く時間は短くなっても、お金に働いてもらう時間は長くなるのがいい。
そうなれば、9月もたっぷり相場をやれて、速く過ぎるという感覚もなくなるかもしれない。
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆(出所:9/24配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)