[6日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)はインフレ高進を大幅に抑制するために3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)の利上げを決定する可能性が高かったが、ロシアのウクライナ侵攻を理由に見送っていたことが、6日に公表された議事要旨で明らかになった。
議事要旨によると「多くの参加者は、今回の会合でフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標レンジを50bp引き上げることが望ましいと指摘した」ものの、「ロシアのウクライナ侵攻に伴う短期的な不確実性の高まりを考慮し、今回の会合では25bpの引き上げが適切と判断した」という。
ロシアは2月24日に大規模なウクライナ侵攻を開始。その数日前にはFRB当局者は3月の会合で50bpの利上げに前向きであることを示していた。
侵攻から約1週間後、パウエル議長は下院金融サービス委員会の公聴会で証言し、3月15─16日開催のFOMCで「25bpの利上げを提案し、支持する方向に傾いている」と表明した。
議事要旨によると、25bp利上げに関するパウエル議長の見解はその後、FRBメンバーに広く共有され、3月のFOMCで25bpの利上げを正式に決定。今年から来年にかけた利上げ継続を示唆した。
アランB・ランツ&アソシエイツのアラン・ランツ社長は「ロシアとウクライナの紛争により50bpの利上げが見送られたようだが、これは理にかなっている」と述べた。
ウクライナ紛争が長引く中、3月のFOMC以降、パウエル議長を含む多くのFRB当局者は紛争に伴う主なリスクは米経済成長への悪影響ではなくインフレのさらなる上昇圧力だと指摘し、より大幅な利上げの必要性を主張している。
市場では5月の会合だけでなく、6月および7月の会合でも50bpの利上げが行われる可能性を織り込んでいる。50bpの利上げが3回連続で決定されれば1980年代前半以来の急激な利上げとなる。
議事要旨は「多くの参加者が、特にインフレ圧力が高止まりするか強まった場合、将来の会合で目標レンジの50ベーシスポイント引き上げを1回またはそれ以上実施することが適切と指摘した」とした。
FRBが50bpの利上げを決定すれば1995年以来となる。