日経平均は反発。
43.94円高の22887.06円(出来高概算6億5377万株)で前場の取引を終えた。
前日の米国株式市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)で大方の予想通り政策金利が引き下げられたものの、パウエル議長が今後の利上げには大幅なインフレ率上昇が必要になるとの認識を示し、主要3指数は揃って反発。
シカゴ日経225先物清算値は大阪比90円高の22930円、円相場は1ドル108円70銭台で推移するなか、本日の日経平均は反発で寄り付く形となった。
海外勢による指数先物への買い戻しの動きが活発化したほか、決算を受けた個別物色も目立った。
前引けにかけては、軟調な中国経済指標を嫌気する向きや、日銀による金融政策決定会合の結果を控えて、節目の23000円を前に利益確定の売りが上値を抑えた。
セクターでは、情報・通信業、ガラス・土石製品、不動産業が上昇した一方で、証券・商品先物取引業、ゴム製品、銀行業、海運業などはさえない。
売買代金上位では、イメージセンサーが好調で第2四半期業績が想定を上振れたソニー (T:6758)が3%高になったほか、花王 (T:4452)やアルプスアルパイン (T:6770)などへの物色が入った。
そのほか、ソフトバンクG (T:9984)、ファーストリテ (T:9983)、資生堂 (T:4911)、キーエンス (T:6861)が上昇。
一方で、決算後に出尽くし感が優勢になったアドバンテスト (T:6857)やアンリツ (T:6754)が売り込まれたほか、任天堂 (T:7974)、日立 (T:6501)、SUMCO (T:3436)なども軟調であった。
前日の米国市場におけるFOMCでは、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準を現行の1.75%-2.00%から1.50%-1.75%に引き下げることが賛成多数で決定された。
0.25ポイントの追加利下げは予想通りだったものの、FOMC声明から「適切に行動する」との文言が削除されており、市場では12月に追加利下げが実施される可能性は極めて低いとの見方が広がっている。
ただ、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見で「現在、利上げは検討していない。
利上げには著しいインフレの上昇が条件となる」との見方が伝えられたことから、インフレ動向次第では来年前半に追加利下げが実施される可能性は残されている状況である。
米利下げ決定後も円安基調が継続する為替市場の動向を背景に、東京市場では朝方こそ225先物に対する買い戻しの動きはみられたが、前引けにかけての日経平均は節目の23000円を前に上値の重い展開となった。
日経平均は10月29日のザラ場中に一時23000円を突破したとはいえ、日経レバETF (T:1570)と日経ダブルイン (T:1357)の純資産残高は週初から17年末以来約2年ぶりに逆転してきており、逆張り目線の個人投資家を中心としていったんは相場調整を見込む向きも観測されている。
現状の日経平均に対しての底堅さは意識されているが、週末にかけて国内では3連休を控えているタイミングもあり、積極的な商いは期待しにくいだろう。
一方で、前引けの東証株価指数(TOPIX)は前日比で0.28%安となった。
前引け時点で同0.27%安であった10月4日に続き、通年ベースで大幅に買い遅れている日銀によるETF買いへの思惑などは需給面での下支えとなろう。
物色としても、決算絡みの個別対応のほか、修正局面にあるNT倍率の縮小を狙った売買にも注目しておきたいところである。
(雲宮 祥士)