[リヤド/ワシントン 23日 ロイター] - サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏が昨年10月にトルコのイスタンブールのサウジ総領事館で殺害された事件で、サウジ刑事裁判所は、公判にかけられた11人のうち5人に死刑判決、3人に禁固刑を言い渡した。検察当局が23日発表した。名前などは明らかにしていない。
カショギ氏はサウジ政府に批判的だった。同氏の殺害に国際的に批判の声があがったが、サウジ政府は関与を否定していた。
検察によると、事件の捜査で21人を逮捕し、10人を聴取したという。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の元側近で、カショギ氏殺害に関わったとされるアハマド・アシリ元情報機関高官は起訴されたものの、証拠不十分で釈放。同じく元側近のサウド・カハタニ元王室顧問は調査を受けたが不起訴となった。
今回の判決に対しては上告が可能。
トランプ政権のある高官は判決について「重要な第一歩となる」とコメントした。トランプ政権に対しては、カショギ氏殺害でサウジへの姿勢が寛大過ぎるとの批判もある。また、別の米高官は、今後も責任追及を続けると強調した。
米情報機関の関係者によると、複数の米政府機関は公判の信頼性に疑問を抱いており、米中央情報局(CIA)の専門家は、ムハンマド皇太子が殺害を指示したか、または、少なくとも殺害を承認したと依然考えている。
この関係者によると、死刑判決を言い渡された5人は現場レベルの当局者で、捜査を受けたが罪がみとめられなかった側近2人は殺害事件でより重要な役割を果たしたという。
事件の国際調査を担当した国連のカラマール特別報告者はツイッターへの投稿で、判決は見せかけの正義だとコメント。「実行犯は有罪となり死刑が言い渡されたが、背後で操っていた者は釈放されただけでなく、捜査や裁判にほとんど関わらずに済んでいる」と批判した。
国連主導の調査は2月に公表した報告書で、サウジ高官による残酷で、十分に熟考された計画殺害だったことを示す証拠があると指摘していた。
国連報道官によるとグテレス事務総長は、カショギ氏殺害事件を巡る「公平で独立した捜査」の必要性を強調した。
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