国務省は5月29日、世界の信教の自由に関する年次レポートを発表した。
マイク・ポンペオ国務長官は合わせて会見を開き、米国政府は、世界の信仰の自由への侵害などの問題に関与していくとの意向を示した。
ポンペオ長官はホワイトハウスで開かれた会見で「アメリカは観客として傍観するつもりはない」「基本的人権を享受しようとする、すべての人と団結する立場にある」と述べた。
米国務省は連邦議会から、世界各国の宗教的自由の状態を審査する年次報告書の発表を義務づけられている。
また、ポンペオ長官は29日にSNSで、「宗教の自由は米国の外交政策のなかで核心となる議題」と位置付け、重視する姿勢を見せている。
このたびの会見では、7月25~26日に、自身が議長を務める宗教の自由と保護に関する閣僚級会議を開くと発表した。
発表されたレポートのなかの中国セクションでは、2017年には多数の宗教的自由の侵害があったと記されている。
「中国は憲法で、国民には宗教と信仰の自由があると定めているが、中国共産党の利益にならない宗教を『脅威』と定め、支配と統制を行っている」。
また、中国共産党政府は「愛国的な宗教活動」だけを認めており、登録されていない宗教の信仰者に対しては拷問、心身の虐待、拘束、不当な有罪判決を下しているとした。
レポートは複数の人権団体の資料や報道を引用している。
チベット仏教徒では昨年、少なくとも6人が弾圧への抗議として焼身自殺したケースや、法輪功学習者の数十人が拘留中に死亡した例、ほか、仏教寺院の強制取り壊しに対して仏僧が抗議のため自殺した例などを挙げた。
また新疆ウイグル自治区では、数十万人のウイグル人が再教育施設に強制的に送られ、広範かつ侵略的な監視を行なっているとした。
中国政府は宗教活動の統制をさらに強化している。
2018年2月に施行した「宗教事務条例」改正法では、屋外の宗教的大型モニュメントの建造、無許可の海外宗教活動への参加、宗教学校以外の布教施設の設立が禁じられた。
米国は国際宗教自由法のもとで、中国に対して、1999年から今日まで、深刻に宗教の自由を侵害する国「懸念される国」に指定しており、輸出制限などの制裁を科している。
(編集・佐渡道世)
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