■株式相場見通し
予想レンジ:上限23000-下限22300円
来週は米雇用統計の結果を受けた米国市場の動向に影響を受ける格好となるが、10月雇用統計で失業率が低下し、非農業部門就業者数が回復したものの予想を下振れている。
ただし、ISM非製造業景況指数や製造業受注指数が予想を上振れたことでNYダウ、ナスダックともに上昇し、シカゴ日経225先物清算値は22600円に乗せるなか、日経平均は連日で年初来高値を更新してこよう。
引き続き主要企業の決算が続く。
トヨタ (T:7203)など自動車や商社、不動産の主力処の発表が予定されている。
また、連休明けにはソフトバンクG (T:9984)が決算を予定しており、市場の関心が集まることになろう。
ソフトバンクGについては、通信大手のスプリントとTモバイルUSの経営統合問題について、一時決裂したと思われていた経営統合を巡る協議が依然として進行中であるとの報道が伝えられている。
そのほか、海外ではピークは通過したものの、週後半には米半導体エヌビディアの決算が予定されており、これが大株主のソフトバンクGのほか、他のハイテクセクターや、自動運転、IoT(モノのインターネット)といった関連銘柄への手掛かり材料になる可能性はありそうだ。
ただし、これまでハイテク中心に主要企業に好決算が相次いでおり、これがセンチメントを明るくさせている面はある。
しかし、決算ピークの中で支援材料となる好決算が続かないと、次第に慎重姿勢から利益確定の流れに向かわせる可能性がありそうだ。
海外勢によるインデックスに絡んだ売買が上昇をけん引している一方、中小型株等については、引き続き手掛けづらさが意識されることも考えられよう。
また、トランプ米大統領がアジアを歴訪する。
5日から大統領就任後初めてとなるアジア歴訪の最初の訪問国として日本を訪れ、安倍首相とゴルフをプレーするほか、日米首脳会談を行う。
ほか、天皇皇后両陛下と会見するほか北朝鮮による拉致被害者の家族と面会することになっている。
7日からは韓国を訪れるほか、8日から中国、10日からはベトナムを訪問し、12日からはフィリピンを訪れる。
アジア歴訪でトランプ大統領は核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への圧力を強化するよう呼びかけるとともにアメリカ第一主義のもと貿易不均衡の是正を求める考え。
アジア歴訪の間に北朝鮮による挑発があると、リスク回避から神経質な相場展開となる可能性はある。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い動きとなりそうだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)による12月追加利上げの環境が整備されつつあるなか、トランプ政権の税制改革に関する法案審議の行方が注目される。
共和党執行部は、今月下旬の感謝祭までに下院での税制改革法案可決を目指している。
下院共和党の税制改革法案は、法人税率を35%から20%に引き下げ、所得税の税率区分数を減らす内容だが、市場関係者の間では「財源確保に問題があり、このままでは議会で十分な支持を得ることは難しい」との声が聞かれている。
法案内容の一部を修正するために党内での調整を進めているもようだが、この調整に手間取り、法案の提示が遅れた場合、法案成立は12月以降にずれ込み、ドルを押し下げる可能性がある。
米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長人事について、トランプ大統領はFRBのパウエル理事を指名すると正式に発表した。
タカ派寄りとみられていたスタンフォード大学のテイラー教授と比べてパウエル氏の基本スタンスは穏健的との見方が多い。
来年以降の引き締めペースは多少緩やかになるとの思惑が広がっているが、FRBは金利正常化に向けて来年も3回の利上げを計画しており、日米金利差拡大への思惑でドルの先高観は後退しないとみられる。
■来週の注目スケジュール
11月 6日(月):金融政策決定会合議事要旨、独製造業受注、ユーロ圏総合PMIなど
11月 7日(火):独鉱工業生産指数、ユーロ圏小売売上高、米消費者信用残高など
11月 8日(水):景気動向指数、中貿易収支、APEC閣僚会議など
11月 9日(木):機械受注、中消費者物価指数、エヌビディア決算
11月10日(金):第3次産業活動指、米ミシガン大学消費者信頼感指数など