[22日 ロイター] - <為替> ニューヨーク外為市場では、米国債利回りの低下に伴いドルが主要通貨に対し下落した。またトルコリラが大幅安となった。
ドルは通貨バスケットに対し約0.35%安の92.09。先週は0.5%値上がりしていた。
国債利回りは1.682%に低下したものの、なお1年ぶりの水準に高止まっている。
こうした中、トルコリラはこの日対ドルで一時10%急落。エルドアン大統領が金融引き締めを進めてきたトルコ中央銀行のアーバル総裁を解任したことが嫌気された。ただその後はやや下げ渋り、足元では7.9%安の7.7900リラ。
メルク・ハード・カレンシー・ファンドのポートフォリオマネジャー、アクセル・メルク氏は、「この日の重要な材料と一つして、トルコリラの売りが大きな波及効果をもたらさなかったことが挙げられる」と指摘。「今週は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が数回発言する予定だが、先週の主張を繰り返すとみられており、米国債利回りの伸びは抑制され、ドルにとってはマイナス材料になるだろう」と述べた。
<債券> 米金融・債券市場では利回りが低下したものの、1年超ぶりの高水準付近で推移した。市場では米経済回復ペースとインフレ圧力の高まりを予想されているほか、今週は計1830億ドルの国債入札も予定されている。
米連邦準備理事会(FRB)は先週の連邦公開市場委員会(FOMC)で、今年の米経済成長率とインフレが大きく上昇するとの見方を示したほか、景気支援に向けあらゆる手段を行使する姿勢を改めて表明した。
FRB当局者も最近の利回り上昇に対しては懸念を示さず、経済への楽観的な見方を反映しているとの考えを示している。
インキャピタルのチーフ市場ストラテジスト、パトリック・リアリー氏は、「FRBが雇用最大化に注力し、インフレを容認するという事実を市場はなお受け入れているところだ」とし、利回りは「FRBにとって、全体的にはまだ低水準。それがどの時点で変化し、どういう水準かは分からない」と述べた。
10年債利回りは5ベーシスポイント(bp)低下して1.684%。先週18日は昨年1月以来の1.754%まで上昇した。2年債との利回り格差は153bp。18日は2015年以来の160bpを付けた。
<株式> 米国株式市場はハイテク株に買いが入り、上昇して終了した。電気自動車(EV)大手テスラの上昇がナスダック総合とS&P総合500種の押し上げ要因となった。
銘柄選択で知られるキャシー・ウッド氏が率いるファンドで、テスラ株を保有するアーク・インベストは、テスラの株価が2025年までに3000ドル近くまで上昇するとの見方を示した。これを受けてテスラは一時6%超上昇し、2.31%高で引けた。
この日はグロース(成長)株が1.43%超上昇したのに対し、バリュー株は0.07%下げ、年初来の循環物色の流れと逆行する展開となった。
グレート・ヒル・キャピタルのトム・ヘイズ会長は、米10年債利回りが先週付けた1年2カ月ぶり高水準の1.754%からやや低下したことでハイテク株が値を戻していると指摘した。ただ「ハイテク株とグロース株が復活したように見えるだろうが、予想より緩やかになる」との見方も示した。
22日の取引ではハイテク株の比率が高いナスダックの上昇率がS&P500とダウ工業株30種を上回った。S&P500とダウは先週、経済対策とワクチン接種の進展を背景とした景気回復期待から最高値を更新していた。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、欧米株高やトルコからの需要鈍化懸念を受けた売りが優勢となり、3営業日ぶりに反落した。
この日は米長期金利の落ち着きを眺めてリスク投資意欲が高まり、欧米株価が上昇。金塊は利食い売りに押された。
また、トルコのエルドアン大統領は20日、金融引き締めに積極的だった中央銀行総裁を突如解任。政策運営の先行きに対する不安が広がる中、安全な投資先としてドルや米国債が選好された。一方、金塊はトルコからの需要が鈍化するとの思惑に圧迫される展開。国際的な業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、トルコは2020年に世界最大の134.5トンを公的金準備向けに買い付けたという。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、欧州でのコロナウイルス感染拡大懸念が広がる中、安値拾いの買いなどが入り、小幅続伸となった。
短期間で急速に売られすぎたとの見方が強まる中、安値拾いの買いが入り、相場を支えた。外国為替市場では米長期金利の低下を背景に対ユーロでドル安が進行。ドル建てで取引される原油などの商品に割安感が生じ、原油が買われた。
一方、欧州の一部では、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けたロックダウン(都市封鎖)措置の延長や、英製薬大手アストラゼネカ製ワクチンの普及をめぐる混乱が続いており、早期の域内経済回復に対する期待が後退。エネルギー需要見通しに警戒感が広がり、相場の重しとなっている。
ドル/円 NY終値 108.83/108.86
始値 108.73
高値 108.85
安値 108.66
ユーロ/ドル NY終値 1.1931/1.1935
始値 1.1909
高値 1.1946
安値 1.1911
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 88*28.00 2.3984%
前営業日終値 87*27.00 2.4510%
10年債(指標銘柄) 17時05分 94*26.50 1.6946%
前営業日終値 94*16.00 1.7320%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*08.00 0.8628%
前営業日終値 98*05.00 0.8820%
2年債(指標銘柄) 16時33分 99*30.38 0.1513%
前営業日終値 99*30.38 0.1510%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 32731.20 +103.23 +0.32
前営業日終値 32627.97
ナスダック総合 13377.54 +162.31 +1.23
前営業日終値 13215.24
S&P総合500種 3940.59 +27.49 +0.70
前営業日終値 3913.10
COMEX金 4月限 1738.1 ‐3.6
前営業日終値 1741.7
COMEX銀 5月限 2576.9 ‐55.2
前営業日終値 2632.1
北海ブレント 5月限 64.62 +0.09
前営業日終値 64.53
米WTI先物 4月限 61.55 +0.13
前営業日終値 61.42
CRB商品指数 189.0646 +0.2766
前営業日終値 188.7880 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20210322T222146+0000