[ワシントン/北京 9日 ロイター] - バイデン米大統領は9日、中国の習近平国家主席と電話で会談した。両首脳が直接話すのは2月以来、約7カ月ぶり。
1月のバイデン政権発足後、両首脳が電話会談したのは2回目。今回の会談は90分にわたって行われた。
ホワイトハウスの声明によると、両首脳は、米中の競争が紛争につながることを回避する必要性について協議。「幅広い戦略的な協議」を行い、「利害関係が収れんする分野と利害関係、価値観、視点が乖離する分野」について協議したという。
ホワイトハウスは声明で「バイデン大統領は、米国がインド太平洋と世界の平和、安定、繁栄に永続的な利害関係を持っていることを強調した。両首脳は競争が紛争とならないよう両国の責任について協議した」と表明した。
米政府高官によると、電話会談では経済問題、気候変動、新型コロナウイルスが主要議題となった。会談時間は約90分。「打ち解けた」「率直な」意見交換が行われた。
さまざまな国際問題を協議したが、具体的な合意を結ぶことや成果を出すことが目的ではなかったという。
中国の国営メディアも10日、習近平国家主席とバイデン大統領が電話会談し、両国関係や共通の懸念事項について広範で率直かつ踏み込んだ戦略的協議を行ったと伝えた。習主席は、バイデン大統領に、米国の対中政策が両国関係に多大な困難をもたらしていると表明したが、頻繁に連絡を取り合い、実務レベルの担当者に対し対話を増やすよう要請することで合意したとしている。
国営メディアによると、習主席は「中米は戦略的な勇気と洞察力、政治的な大胆さを示し、中米関係をできる限り早期に安定的発展の正しい軌道に戻すべきだ」と述べた。
米中関係は冷え込んでおり、両首脳が2月に初の電話会談を実施して以降、何度かハイレベル会合が開かれたが、気候変動、人権、新型コロナの起源などを巡る問題で、ほとんど成果は出ていない。
習主席は、双方の核心的問題が尊重されれば、気候変動などの分野で外交の突破口が開ける可能性があるとの認識を示し、気候問題は両国間関係の「プラス要因」になり得ると指摘したという。
米政府高官は首脳会談後、「これまでよりも中身が伴う対話ができるかどうかを確かめる必要がある」と説明。首脳会談は率直かつ互いを尊重する雰囲気で行われたとした。
ただ、米国が中国の行動を変える能力は限られる可能性があるとも指摘。米国は、自国の競争力強化とパートナー国・同盟国との結束に主眼を置くべきだと語った。