[27日 ロイター] - 米アップルが27日に発表した第1・四半期決算(12月26日まで)は、売上高と利益が市場予想を上回った。次世代通信規格「5G」に対応するiPhone12の発売が弾みとなり、iPhoneの売り上げが過去最高を更新したほか、中国での販売も57%伸びた。
iPhone12の出荷は通常よりも数週間遅れたものの、モデル数の拡大や新たな外観で魅力が増したとみられ、特に中国で需要が拡大した。また、「Mac(マック)」ラップトップやiPadの販売も新型コロナウイルス流行に伴うリモートワーク・ラーニングなどの広がりを背景に力強い伸びを示した。
全体の売上高は21%増の1114億4000万ドル。1株利益も1.25ドルから1.68ドルに拡大した。リフィニティブのアナリスト予想は売上高が1032億8000万ドル、1株利益は1.41ドルだった。
iPhoneの売上高は656億ドルと、予想の598億ドルを上回り、2018年度第1・四半期に記録した615億8000万ドルを抜いた。
Macの売上高は86億8000万ドル。アナリスト予想の86億9000万ドルに沿う内容となった。iPadの売上高は84億4000万ドルで、アナリスト予想の74億6000万ドルを上回った。
クック最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、Mac、iPad、iPhone12プロモデルの販売はいずれも「供給制約」に直面したと指摘。「半導体が非常にタイトだ」としつつ、サプライチェーンのその他分野も制約要因になったと語った。
動画・音楽配信などのサブスクリプションサービスを合わせた新しい「Apple One(アップルワン)」を含めたサービス事業の売上高は157億6000万ドル。アナリスト予想は148億ドルだった。
クックCEOは、自社プラットフォームの有料登録会員が6億2000万人になっており、2020年末までに6億人とする目標を上回ったと述べた。
腕時計型端末「アップルウオッチ」やワイヤレスイヤホン「AirPods(エアポッド)」を含めたウェアラブル・アクセサリーセグメントの売上高は129億7000万ドル。アナリスト予想は119億6000万ドルだった。
アップルは昨年12月、オーバーイヤー型のワイヤレスヘッドフォン「AirPods Max(エアポッドマックス)」(価格550ドル)を発表。ただ、商品発表から数時間以内に出荷日が数カ月伸びた経緯がある。クックCEOはエアポッドマックスの供給不足が今第2・四半期も続く可能性があると述べた。
<今四半期は売上高伸び率加速へ>
アップルは正式な見通しを示さなかったものの、マエストリ最高財務責任者(CFO)は投資家向け電話会見で、今第2・四半期の売上高伸び率は前年同期比ベースで加速する公算が大きいとしたほか、粗利益率は第1・四半期の39.7%と同程度になりそうだと述べた。
アップル株は決算発表を受け、引け後の時間外取引で2%安。ただ、今月15日以降で約12%上昇している。
クックCEOはロイターとのインタビューで、自社端末のアクティブインストールベースが16億5000万台になっていると指摘。1年前の15億台から増えた。また、iPhoneのインストールベースは10億台を超えていると明かした。2019年に開示された直近の数字は9億台だった。
<中国好調>
第1・四半期の中国販売は、前年同期比57%増の213億1000万ドル。
クックCEOは「われわれは中国都市部で最も売れているスマートフォントップ3のうち2つを占めた」と指摘。その他の製品やサービスの多くも販売が好調だったと付け加えた。中国でのiPhoneは、ライバルであるアンドロイド機器からの乗り換え需要と既存顧客の更新需要の双方を取り込んだとしつつ、「特に更新する人は中国で過去最多」だったという。
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