[2日 ロイター] - 中国電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングが2日発表した第3・四半期(10─12月)決算は、売上高が市場予想を上回った。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けオンライン販売が増加した。ただ、同社に対する規制当局の監視が強まる中、株価は下落した。
アリババの創業者、馬雲(ジャック・マー)氏は昨年10月下旬、中国の規制制度を批判。当局の反感を招いたとみられ、その後、傘下の金融会社アント・グループは総額370億ドル規模の新規株式公開(IPO)の延期を余儀なくされた。
それ以来、当局はIT(情報技術)セクターを対象にした独占禁止法(反トラスト法)を巡る調査を開始し、アントに対しても規制の強化を検討している。
アリババの張勇(ダニエル・チャン)最高経営責任者(CEO)は、中国でのインターネット企業やフィンテック企業の規制の変更は短期的な課題をもたらすと指摘。決算発表に伴う電話会見で「われわれは事業慣行を見直し、改善させる重要な機会としてこれを受け止めている」と語った。
総売上高は37%増の2210億8000万元(342億4000万ドル)で、リフィニティブのアナリスト予想である2143億8000万元を上回った。
主要なショッピングサイトの売上高は38%増加し、過去最高の1955億4000万元に拡大。コロナ危機からの景気回復を受け国内事業が後押しした。
普通株主に帰属する純利益は794億3000万元(1米国預託株式当たり28.85元)。前年同期は523億1000万元(同19.55元)だった。
クラウド事業の利益は50%増の161億2000万元となり、利払い・税・無形固定資産償却前利益(EBITA)で初めて黒字化した。
アリババは、アント・グループのIPOが停止されたことによる同社への影響ついては「公正な評価を完了できていない」とした。ただ、張CEOは、アントの消費者向け金融サービスが落ち込んだとしてもアリババの電子商取引事業への影響はないだろうと述べた。
キーバンク・キャピタル・マーケッツのアナリスト、ハンス・チャン氏は、規制当局からの厳しい監視は継続的な懸念材料だが、リスクは管理可能と指摘した。
アリババの香港市場上場株は3日の取引で約4%安。2日のニューヨーク市場でもADR(米預託証券)が同程度値下がりしていた。
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