[15日 ロイター] - 豪メディア大手セブン・ウエスト・メディアは15日、米アルファベット傘下グーグルとの長期提携で暫定合意したと発表した。グーグルによる記事の使用料支払いが含まれる。
グーグルは今月、報道機関に記事の対価を支払うプラットフォーム「ニュース・ショーケース」をオーストラリアで開始、豪報道機関7社が支払いの対象となった。
豪政府は検索結果に表示されるコンテンツについて、報道機関や放送局への対価支払いをグーグルに義務付ける法案を計画しており、ニュース・ショーケースは法制化回避に向けた取り組みの1つ。
法案は今週、議会に提出される見通し。
グーグルとの合意を発表した豪メディア大手はセブンが初めて。同社はテレビネットワークなどを保有している。ライバルのニューズやナイン・エンターテインメント・ホールディングスはグーグルとの合意がまとまらず、法案を支持している。
これまでにグーグルと合意した豪メディアは、オンラインの専門ニュースサイトや地方紙にとどまっていた。
グーグル豪州部門のメル・シルバ最高経営責任者(CEO)はセブンとの合意を歓迎する意向を表明。同CEOは先月、法案が成立すれば豪州で検索サービスを打ち切ると表明している。
グーグルの広報は、今回の合意の影響についてコメントを控えている。
セブン・ウエストのケリー・ストークス会長は政府が提案中の法案のおかげで「公平な支払い」で合意がまとまり、「デジタル時代の将来」を確かなものにできたと表明。
序盤取引で株価は10.6%上昇し、2019年5月31日以来の高値を付けた。
セブンとグーグルの提携の金額面の条件は公表されていない。
セブンの発表に先立ち、フライデンバーグ財務相は、豪放送協会(ABC)に対し、法案を提出する計画に変更はないとしながらも「大型の商業契約が近く成立すると思われる。これにより、国内メディアの光景が変わるだろう」との見方を示した。
法案の文言によると、グーグルと豪メディアの間で合意がまとまらない場合、政府が調停人が任命して対価を決定する。
セブンの広報担当はロイターに、依然として法案を支持していると述べた。
ナインはコメントを控えている。ニューズのコメントは取れていない。
メディア・通信専門の独立系アナリスト、ポール・ブッデ氏は「豪政府とグーグルが妥協に近づいているようだ。政府は勝利を宣言でき、グーグルもダメージを抑えられる。いずれにしてもメディアにはニュースの対価が支払われる」と述べた。
*情報を追加します