[12日 ロイター] - 米マイクロソフトは12日、人工知能(AI)や音声認識技術を手掛ける米ニュアンス・コミュニケーションズを現金約160億ドルで買収すると発表した。
両社は2019年に医療機関における文書作成などの事務作業自動化業務で提携。新型コロナウイルス感染拡大を受け遠隔医療が広まる中、マイクロソフトはヘルスケア部門のクラウド業務を強化する。マイクロソフトのナデラ最高経営責任者(CEO)は「AIは最優先すべき技術で、ヘルスケア部門は最も迅速にAIを実用化すべき部門」と述べた。
買収額は1株当たり56ドルと、ニュアンスの9日終値に22.86%上乗せした水準。株価はこの日、約16%高の52.85ドルで引けた。
ニュアンスの本社はマサチューセッツ州バーリントン。米アップルの音声アシスタント機能「Siri(シリ)」で使われる技術を提供したことで知られる。
かつてはさまざまな業界に音声認識技術を提供していたが、収益性の低い事業の分離・売却を進め、現在はヘルスケアと法人向けAIに注力している。
28カ国で事業を展開し、20年度の売上高15億ドルのうち、3分の2はヘルスケア部門で稼いだ。問診時に音声認識技術を活用するサービスなどを提供。米病院の利用率は77%に上る。
フォレスターのアナリスト、J.P.ゴウンダー氏は、ニュアンス社の医療分野における強みにより医療分野顧客とマイクロソフトのクラウドやAI関連サービスが一段と強くつながると指摘した。
マイクロソフトによる買収額は純債務も含めると197億ドル。マイクロソフトの企業買収としては、16年の米リンクトイン(262億ドル)に次ぐ2番目の規模となる。
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