[アーミデール(オーストラリア) 24日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ総裁は24日の講演で、追加利下げが必要な可能性があるとの認識を示した。豪中銀は来週、理事会を開催する。豪中銀は、6月、7月と2会合連続で政策金利を引き下げた。
ロウ総裁は、連続利下げに言及しつつ「追加の金融緩和が必要となる可能性がある」と述べ、「来週の理事会では、再び兆候の評価をすることになる」とした。
必要なら政策をさらに緩和する用意があるとし、低金利が長期間継続する必要があるとの見方を示した。
状況次第で量的緩和を検討するとしながらも、可能性は依然として低いとの認識を示した。
総裁の発言を受け、次回10月1日の中銀理事会で政策金利が1%から0.75%に引き下げられるとの見方が後退し、豪ドルはこの日の高値となる0.68065米ドルを付けた。
金利先物市場が織り込む来週の25ベーシスポイント(bp)利下げ確率は60%と、講演前の74%から低下した。
TDセキュリティーズ・アジア太平洋金利ストラテジスト、プラシャント・ニューナハ氏は「市場は中銀が10月に利下げを検討するという、より明確な裏付けを求めていたが、それは得られなかった」と述べた。また「総裁の他の発言も景気に関して前向きで、その点も来月の利下げの確証にならない」と語った。
ロウ総裁は、低金利、政府の家計向け税還付、豪ドル安、資源セクターの見通し改善、インフラ投資の効果で経済が緩やかに回復することに期待を示した。
向こう数四半期で、経済成長が緩やかに加速すると予想。ただ、勢いや持続力は、現段階では未知数との認識を示した。
経済成長を阻害する要因としては、国内の深刻な干ばつや個人消費の低迷とともに、米中貿易戦争といった海外の不確実要因を挙げた。
豪経済は28年間、景気後退に陥っていないが、4─6月は前年比で10年ぶりの低成長となった。
総裁は、米連邦準備理事会(FRB)など世界の主要中銀の利下げも、豪中銀の意思決定に一定の影響力を持つと指摘。
「世界の金利の構造的変化を無視することはできない。無視しようとすれば、豪ドルが上昇し、現在の状況で、インフレ目標と完全雇用の実現を支援することはない」と述べた。
また、世界経済の減速、国内の干ばつや家計消費低迷の影響を踏まえても、足元における景気減速を説明しきれない面があると指摘。特に雇用の伸びが経済成長を上回るペースとなっていることを考えると不可解とした。
「生産の伸びは通常、雇用の伸びを上回るものだ。われわれは、何が起こっているのか、理解しようとしている。単なるデータのノイズかもしれないが、より構造的要因である可能性は排除できない」と語った。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20190924T223920+0000