[シドニー 4日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は4日、金融安定報告を公表し、国内の住宅市場には回復の兆しがみられるものの、依然システミックリスクの主要な原因となり得るとの見方を示した。
中銀は、数回にわたる利下げと融資規制の緩和により、住宅需要は上向いているとの見方を示した。
家計と銀行の資産の40─50%を占める住宅部門の動向を中銀は注視しており「短期的には住宅価格下落に伴うリスクは幾分後退したものの、依然存在する」と説明した。
さらに「国内外のマクロ経済見通しを巡る不確実性の拡大は、家計が直面するリスクを高める」との見方を示した。
その上で「全般的に、家計は引き続き債務返済が可能な状況にある。最も債務を抱えている家計は所得が最も高い家計で、多くはかなりの規模の繰り上げ返済を行っている」と説明した。
大半の家計は住宅ローン返済に問題がないが、住宅ローンの焦げ付きが世界金融危機以降で最も高い水準となっていることは注視する必要があると指摘。「失業率の上昇や所得の伸び悩みが続けば、債務返済が困難になる家計の割合が増える恐れがある」との見方を示した。
米中通商摩擦や香港や中東情勢の緊迫化、英国の欧州連合(EU)離脱問題により、過去半年間で世界経済の先行き不透明感は増しており、世界経済は今後一段と圧迫される可能性があると指摘した。
国内経済は世界経済の衝撃に耐えうるが、銀行による行き過ぎたリスク回避は景気を一段と下押しするとし「過度のリスク回避が、経済成長を下支えする信用供与を妨ぐ恐れがある」との見方を示した。
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