[ワシントン 3日 ロイター] - 米野党・民主党が多数派を占める下院は、トランプ大統領の弾劾調査を開始するきっかけとなった内部告発者の議会証言に向け交渉を行っているが、トランプ氏による告発者を非難する脅迫めいた発言が交渉を難しくしている。事情に詳しい関係者3人が明らかにした。
トランプ氏は告発者が反逆罪を犯したとの見方をこれまでに示唆。下院情報特別委員会の民主党議員は、証言に応じれば告発者の身元特定につながると懸念しており、関係筋によると、同委のメンバーにも身元が分からないようにする必要があるかどうかが検討されているという。
ホワイトハウスからコメントは得られていない、告発者の弁護士、アンドリュー・バカイ氏はコメントの求めに応じていない。
内部告発状は、トランプ大統領が7月25日に行われたウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談で、民主党のバイデン前副大統領とその息子の調査を依頼することで、外国政府に米大統領選介入を促したと主張。
下院情報特別委のマイク・クイグリー委員(民主党)はロイターに対し、同委は告発者の弁護団およびマグワイア国家情報長官代行室と交渉しているというのが個人的な理解だと語り、告発者を法的かつ物理的に守るための協議が行われているとの認識を示した。
告発者の弁護団はマグワイア氏に宛てた9月28日付の書簡で、トランプ氏が「スパイと反逆罪」への過去の対応がいかに異なっていたかを語り、告発者の恐怖心をあおったことや、「特定の個人」の身元に関する情報を寄せた人に5万ドルの報奨金を支払う意向を示したという報道に触れ、告発者の安全について懸念を示した。
2人の関係筋によると、情報特別委は告発者が議会とは別の場所で証言することを認め、声や姿も分からないようにする方向で検討を進めている。