[上海 9日 ロイター] - 米プロバスケットボールNBAのヒューストン・ロケッツの幹部が香港のデモを応援するツイートを投稿し、中国が反発している問題で、中国の政府系メディアは9日、NBAコミッショナーが選手や幹部などの表現の自由を尊重すると発言したことを批判する記事を掲載した。
9日に予定されていた中国でのNBAのイベントは中止となった。
問題の発端はロケッツのゼネラルマネジャー(GM)のダリル・モーリー氏による投稿。同氏は7日、謝罪したが、中国のテレビ局やスポーツ用品メーカー、スポンサー企業がNBAとの関係を見直すと表明するなど波紋が広がっている。
NBAは当初、この投稿が中国国内で怒りを招いたことは「遺憾」だと表明。ただ、エキシビジョンゲームのために来日していたアダム・シルバー・コミッショナーは8日の記者会見で、選手や従業員、チームオーナーの発言をNBAが制限することはないと述べ、表現の自由を尊重する考えを表明した。
中国の政府系英字紙チャイナ・デーリーは9日付の論説で、シルバー氏が「ぬけぬけとモーリー氏の分離主義を支持するツイートを擁護」し、「香港の暴徒をあおった」と批判。
中国共産党系メディアの環球時報は、シルバー氏は政治的圧力に屈したと主張すると同時に、NBAは傲慢にも中国市場を軽視していると非難。「中国での一連のNBAプロモーション活動を前に中国人の気分を害する投稿を行うというのは、知性や尊重、責任感の欠如を表している」とした。
環球時報はまた、2001年9月11日に米国で起きた同時多発攻撃について中国の一部インターネットユーザーが「敬意を欠いたコメント」を投稿しているとし、「中国人にとって香港のデモは、ひどい出来事で正当化できない『9/11』と同様だということを、西側メディアに思い起こさせるだろう」と指摘した。
一方で、上海で10日に開催されるNBAエキシビジョンゲームの中国の主催者は9日、同日予定されていたファン向けのイベントを中止すると発表。モーリー氏とシルバー氏の「不適切な態度」が理由だと説明した。
エキシビジョンゲームでは、ブルックリン・ネッツとロサンゼルス・レーカーズが試合を行う。
また主催者は、9日午後に予定されていた両チームの会見が無期限に延期されたと明らかにした。ロイター関係者によると、チームの宿泊先ホテルの周辺では、試合を宣伝する広告が作業員によってはがされたという。
中国国営テレビの中国中央電視台(CCTV)は8日、週内に中国で行われるNBAエキシビジョンゲームの放映を取りやめると発表している。
*内容を追加します。