[国連 29日 ロイター] - 米英独仏や日本など23カ国は29日、国連総会の人権委員会で、中国に対し、新疆ウイグル自治区でのウイグル族などイスラム教徒の拘束をやめるよう求めた。中国の張軍・国連大使は、米中通商協議の「助け」にならないと反論した。
23カ国は、ピアース英国連大使が代表で読み上げた共同声明で「新疆ウイグル自治区などで信教の自由を含む人権を尊重するため、国内法や国際義務を守るよう、中国政府に求める」と表明。
イスラム教徒の「恣意的な拘束」を含むウイグル自治区での状況に関する国連の独立専門家の提言を早急に実行するよう要請した。
中国の張大使は、記者団に対し「通商合意を目指す一方で、人権などの問題を利用して非難するとは信じ難い」と指摘。通商協議は「進展」しているものの、国連での米国の中国批判は「通商協議での問題解決の助けにならないだろう」と述べた。
また声明の内容について、根拠はないとし、「中国の内政への深刻な干渉と意図的な挑発だ」と批判した。
米中の交渉担当者は、「第1段階」の通商合意について、11月16─17日にチリで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせて両国首脳が署名できるよう、文書化を進めている。
しかし、米政府当局者が29日に明らかにしたところによると、署名はAPECに間に合わない可能性が出ている。
米国のクラフト国連大使は、中国を非難する共同声明が通商協議に影響するかとの質問に対し、「中国であろうとどこであろうと人権侵害があるなら、われわれは被害者を守る立場にある」と語った。
23カ国にはカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、オランダ、ノルウェー、スウェーデンなども含まれる。