[ロンドン 30日 ロイター] - 英国で展開する銀行の昨年度の納税額は総額397億ポンドとなり、ほぼ半分が従業員の所得税支払いで、残りが法人税や銀行税などだったことが英財務省の30日の発表で分かった。外国の銀行からの支払いが半分を占めており、欧州連合(EU)離脱後の競争力維持に向けた税制見直しの必要性が浮き彫りになった。
報告はプライスウォーターハウスクーパースが集計。総額は前年度とほぼ同じで、政府歳入の5.5%に相当。従業員からの税収の残りは銀行に対する法人税や、世界金融危機時の公的支援後に導入された銀行税と上乗せ課税分。
報告は、法人税が最近減税されたニューヨークなど他の金融センターに比べて、英国の「財務面の競争力」が低下しているとした。
さらに、英国で事業展開する銀行の多くは、EU離脱後にEU域内の顧客へのサービス継続を確実にするため、フランクフルトなどの都市に拠点を開設している。銀行がロンドンから新たな拠点に移した資産の総額は1兆ユーロ規模に上る。今後、英国の税収落ち込みにつながる可能性が高い。
報告は銀行の全体の税率について、ロンドンが47.1%なのに対し、フランクフルトが44.7%、ニューヨークが33.5%と推計。「財務面の競争力維持がかつてないほど重要になっている」としている。