[北京 31日 ロイター] - 中国共産党は31日まで4日間の日程で開いた第19期中央委員会第4回全体会議(4中全会)後に発表した声明で、抗議活動が続く香港について、繁栄と安定を確保すると同時に国家の安全を守っていくと表明した。ただ、新たな措置などは示さなかった。
北京で開催された4中全会には約370人の党幹部が出席。共産党は声明で、香港に適用している「一国二制度」を「守り、完成させる」必要があると表明。「憲法および基本法に厳格に従って香港特別行政区とマカオ特別行政区を厳しく統治し、 香港とマカオの長期的な繁栄と安定を保全しなくてはならない」とした。
その上で、特別行政区の国家安全を保証するために健全な法制度と執行メカニズムの導入に言及したが、詳細には触れなかった。
香港は1997年、マカオは1999年に中国に返還された。香港では「逃亡犯条例」改正案をきっかけとする大規模デモが続いており、中国の習近平国家主席は2012年の就任以来最大の民衆運動に直面している。
声明は台湾にも言及。中国は「平和的な再統合」を目指す必要があるとし、台湾の独立に反対する姿勢を改めて示した。
今回の中全会は米国との貿易戦争のさなかに開かれたが、声明では言及されなかった。
一方、イデオロギー統制のほか、社会主義的なシステムの信頼醸成に向けた新たな措置には言及。「文化的な自信を強化し、発達した社会主義的な文化の方向性を強く把握し、中国文化の活力を呼び起こし、中国の精神、価値、力を構築する」とし、共産党は「東西南北、および中央」に至るまでの全てを主導する必要があると強調した。
経済面では目新しい項目はなく、資源の配分に市場が決定的な役割を果たせるようにするとしたほか、経済の質の高い発展を追求すると指摘。また、国有部門の統合と発展を断固として進める一方、「非国有部門」の発展も支援するとした。非国有部門は民間部門を意味している。
中国交通銀行のシニアエコノミスト、Tang Jianwei氏は「社会主義的な経済システムの改善に関する文言は、資源の再配分に関する部分も含め、昨年の声明を踏襲した」とし、「文言には何も目新しいものはない」と述べた。