[ロンドン 18日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長に対し、年金基金、保険会社、その他の大企業や科学者らが共同で書簡を送り、IEAが毎年公表している「世界エネルギー展望」の内容を大幅に改定し、2015年に採択されたパリ協定が掲げる目標の実現を支援し、壊滅的な地球温暖化を回避するよう訴えた。
18日に送付された書簡には65に上る署名があり、内容をロイターが確認した。
書簡は「2020年は、われわれの前にある課題や機会をとらえるのか、あるいは低炭素社会への転換を遅らせ、妨げ続けるのかの分岐点となる」と指摘している。
最新の「世界エネルギー展望」は11月13日に発表された。これまでは、石炭や石油などの化石燃料から脱却し、よりクリーンなエネルギーを使う社会への転換をどのぐらい早く果たせるかについて政府や企業、投資家が予測するうえで、判断基準にしてきた存在だ。
しかし、今年初め以降、機関投資家や科学者、環境保護団体などが、再生可能エネルギーへの投資を加速させ、温室効果ガスの排出削減の動きによって石油・ガス・石炭会社の価値が直面するリスクをより的確に分析するようなアプローチが必要だと主張し、「世界エネルギー展望」の策定、公表方法を変えるよう要求している。
IEA関係者によると、こうした指摘を受け、最近版には、パリ協定の目標を完全に達成するためのシナリオを「より厳しい」ものにするなど、いくつかの変更が加えられたという。
しかし、今回の共同書簡は最新版に盛り込まれた変更について、「細かい改善」にすぎず、「緊急に必要とされている大きな変化」と取り違えてはいけないと一蹴している。
書簡には英蘭系日用品大手ユニリーバ (L:ULVR)、スウェーデンの家具大手イケアなどの署名が見られるほか、独保険大手アリアンツ (DE:ALVG)などもロイターに署名したことを認めている。米国や英国、ドイツなどに拠点を置く気候科学者らも署名している。