[東京 29日 ロイター] - 日米関係の強化や国鉄民営化などで実績を残した中曽根康弘元首相が29日死去した。101歳だった。レーガン米大統領(当時)との親密な関係をもとに、日米関係の強化に尽力したほか、専売公社、国鉄、電電公社の3公社を民営化するなど、新自由主義的経済政策を進めた。
1985年にはレーガン政権の財政悪化を受けた米ドル高是正のため国際協調の一環としてプラザ合意で円高誘導を容認。対応した日銀の利下げがバブルの誘因になったと、中国の政策当局者などはみている。
「戦後政治の総決算」を掲げ戦後歴史教育の見直し、靖国神社公式参拝、防衛費1%枠撤廃などを打ち出して左派勢力から批判されたが、自主憲法制定をライフワークとしていた。
冷戦が激化するなか日米同盟の強化を進め、「日米は運命共同体」「日本列島を不沈空母化」などと発言した。レーガン大統領とは「ロン・ヤス」と呼び合う親密な関係を築き、東京都日の出町の山荘に招き首脳会談を実現した。
演出家で劇団四季代表だった浅利慶太氏をブレーンに登用するなど幅広い文化人とのネットワークが持ち味で、ドイツ語でカントを読むなど読書家で知られた。
(竹本能文)