[モスクワ 4日 ロイター] - 世界銀行は4日公表したロシア経済に関する定例報告で今年の成長率見通しを従来から引き上げた上で、向こう数年は成長が加速すると予想した。財政支出の拡大や緩和的な金融政策などを理由に挙げた。
今年の国内総生産(GDP)成長率は1.2%とし、10月報告の1.0%から上方修正した。20年は1.6%とし、10月予想の1.7%から引き上げた。21年の予想は1.8%で、10月と変わらなかった。昨年の実績は2.3%。
今年は投資の低迷や消費需要の落ち込みで成長が鈍ったが、政府は成長てこ入れのため「国家プロジェクト」を準備しており、来年は成長が拡大すると見なされている。
世銀のロシア担当ディレクター、ルノー・セリグマン氏は報告書で「より緩和的な金融政策と国家プロジェクトへの財政支出拡大が成長の促進を後押しすると見込まれる」と述べた。
ロシア中銀は13日の次回会合で利下げを検討する可能性がある。
ただし、インフラやヘルスケア、生態系保護など幅広い分野に数十億ドル規模を支出する国家プロジェクトは、成長押し上げの効果が限られるとみられる。世銀の推計によると、こうした国家プロジェクトによる21年の成長率押し上げは0.2─0.3%ポイントの見込み。
世銀の首席ロシア・エコノミスト、アプルバ・サンギ氏はロイターに対し、国家プロジェクトの成長への寄与が小さいと予想されることについて、プロジェクト開始が遅れていることを理由に挙げた。
また、今後ロシアが成長を押し上げるためには、経済に占める国家の比重を下げ、競争の余地を広げるとともに、国の保有資産を石化燃料系からほかの生産的な分野に多様化する必要があると指摘した。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20191205T030243+0000