[ストックホルム 9日 ロイター] - 欧州連合(EU)のバルニエ首席交渉官は9日、英国のEU離脱について、1月末の離脱後に始まる11カ月の移行期間中にEUと英国の将来の関係について包括的な合意を成立させるのは難しいとの認識を示した。
バルニエ氏はストックホルムで演説し、「我々は英国と基本合意を結ぶため、最善を尽くして11カ月間で最大限のことを行う用意はあるが、この政治宣言のすべての点について合意するには時間がもっと必要になる」と述べた。
その上で、極めて短い期間を考慮すると、EUは向こう数カ月で優先順位を決めなければならないとし、まずは気候変動や中東和平といった問題に対処するために英国と二国間および世界機関における協力体制を築き、次に非常に密接な安全保障関係を築く必要があると指摘した。ただ、EUを離脱した英国との安保関係は必然的に現在よりも協力のレベルが下がることを意味すると述べた。
そして最後に、社会、環境、税の面での公平性に基づいた将来の経済関係をEUは主張すると指摘。「社会・環境基準で競争すれば、労働者や消費者、世界を負け組に追いやる底辺への競争につながりかねない」と述べた。
ジョンソン英首相はこれまで、既存ルールに合わせることに基づいた新たな関係は求めていないと語っている。
バルニエ氏は、より長期的には欧州と英国の間で前例のないほど密接な関係が築かれる可能性があると指摘。「われわれは通商にとどまらず、サービスや漁業から気候に関する行動、エネルギー、運輸、宇宙、安全保障、防衛まであらゆる分野をカバーするパートナーシップに向けて努力するが、非常に大きな課題であり、1年未満でこの新しい関係のすべての側面で合意できるとは思えない」と述べた。
*内容を追加しました。